連載「新・定番論」
Vol.2 T-マイケル 編

スタイルのある人に「長年の定番」3つと、「直近の新定番」3つを聞く新連載。第2回は北欧・ノルウェー人デザイナーのT-マイケルさん。

edit&text_Yukihisa Takei / photo_Ko Tsuchiya

“スタイルのある人”にその人の定番品を聞く新連載、初回はスタイリストの馬場圭介さんに登場いただきましたが、今回は北欧・ノルウェーをベースに活躍するデザイナー、T-Michael(T-マイケル)さんを来日中にキャッチ。

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高度なテーラリングに基づいた自身のメンズブランド[T-Michael(T-マイケル)]をはじめ、エレガントで高機能なレインウェアとして日本のセレクトショップでも人気の[Norwegian Rain(ノルウェージャン・レイン)]、日本の和装ブランド[Y&SONS(ワイアンドサンズ)]とタッグを組んで和服を現代的に解釈した「T-KIMONO(T-キモノ)」など、メンズウェア界で世界的に知られるT-マイケルさん。

その特徴的な風貌と、スタイルも非常に洗練されていることから、ピッティ・ウォモなどにおけるストリートスナップの常連ファッショニスタでもあります。今回は、真似したいけどなかなか真似の出来ない、オリジナリティ溢れるジェントルマン、T-マイケルさんの「新・定番論」。

“シンプルだけど機能的で、

そこにひと捻(ひね)りあるものが好きなんだ”

[T-マイケル 長年の定番3品]

その1 [ノルウェージャン・レイン]の「レインチョ」

“ノルウェーの中でも最も雨の多い都市に住んでいるから生まれた。”

T-マイケルさんが最近常に着用しているのが[ノルウェージャン・レイン]のアウター「レインチョ」。海外のスナップなどでもその姿はよくピックアップされています。

自身のブランド[T-MICHAEL]だけでなく、T-マイケルさんの名を世に知らしめているのが[ノルウェージャン・レイン]のデザイナーとしての一面。ノルウェーの中でも最も年間降雨量が多いうベルゲンという都市の出身であることから、高機能かつスタイリッシュなレインウェアを生み出し続けています。中でも本人が愛用しているのは、同ブランドの中でも最初期から定番になっているアイコニックなモデル「レインチョ」。

また、近年T-マイケルさんが熱心に取り組んでいるのは、日本の和装ブランド[Y.&SONS(ワイアンドサンズ)]とのコラボレーションライン、[T-KIMONO(ティーキモノ)]。日本の和服のデザインをベースに、その生地をテーラードなどで使われるものにすることで、これまでの和服の良さをグローバルな魅力に変えています。

「日本の文化やテーラリングに長年興味があって、4年前に[Y.&SONS]の矢嶋孝行さんに知り合って、何か一緒にやろうという話になったんだ。でもキモノの良さを変えることはしたくなかったので、基本的に何も変えず、生地だけ僕が選んだものにしている。スーツにもジーンズにも合うものを生み出すことが出来たと思う」

その2 [T-MICHAEL]の「T-Bag」と「T-Fold」のクラッチバッグ

“これを思いついた日の夜は、興奮して眠れなかった。”

T-マイケルさんのブランド[T-MICHAEL]の「T-Bag」。レザーの取っ手部分は本体と同色のブラックとヌメ革のものを自分で交換できる仕組み。

6〜7年前から作っているという[T-Bag]は、程よい大きさの中にいくつものギミックが凝らされたもの。レザーのハンドルを付け替え出来たり、バッグ下部のジップの開閉によって容量を調整できるというもの。また内側にしっかりした「サングラスホルダーポケット」があるのもT-マイケル流。

「自分で持ちたいバッグがなくて、どんなバッグがいいかと考えているうちに出てきたのがこのバッグのアイデアなんだ。ジップで取り外しをするのではなく、そのままジップを一周させるだけで大きさを変えられるのはローテクだけどハイテクな、我ながらナイスアイデアだった。それを思いついた日は、興奮して夜も眠れなかったくらいね(笑)」

ジップを内側で1.5周するような仕組みによって簡単にバッグの容量を調節できるようになっている特別な仕組み。「これを思いついた日は夜も眠れなかった」ほど。
T-マイケルさんが自ら開発した「T-Fold(ティーフォールド)」のクラッチバッグ。左はオールレザーのもの(¥67,000+TAX)で、右は表面にコットンピケを使ったもの(本人私物)。

こちらもT-マイケルさん自身のプロダクトである「T-Fold(ティーフォールド)」のクラッチバッグ。その名の通り、「Fold=折って」使えるバッグは一見すると普通の薄手クラッチですが、留め金を使わずにマグネットが入っているので、パチン、パチンと小気味よく使え、広げるとA4サイズ程度の書類も畳んで入れることが出来ます。

「これは4年くらい前にデザインしたもの。普段も大きめのバッグの中にこのバッグを入れていて、大きなバッグを持ち歩く必要のない時にこの『T-Fold』だけを出して持ち歩くので、一番持っている頻度は高いものだね。自分が必要としているものは、自分で作ってしまうんだ」

その3 [T-MICHAEL]の丸型カード入れ、キーケース

“世の中にある財布やカード入れは、なぜ四角いものしかないんだろう?”

一見するとデザイン的な違和感もある丸型のカード入れやキーケース。ところが実際に使ってみるとかなり使い勝手も良く、リピーターも多いのだとか。これもT-マイケルさんらしい独自の視点から生まれたもので、「自分にとって特別なもの」だと言います。

「市場のどこを見回しても、四角や長方形の財布やカード入れ、キーケースはなかったんだけど、それは僕にとっては不自然なことに感じたんだ。丸い形ならポケットに入れる時もどちらが上とか下とか考えずに済むからね。最初に自分用に作って9年も使っているカード入れには、いつもPASMOが入っているよ(笑)。日本に来ることが多いから」

自身のブランド[T-MICHAEL]のカード入れ(右)¥10,000+TAXとキーケース(左))¥10,000+TAX。T-マイケルさん本人が現在も愛用しているカード入れ(上)は9年前に自分用に作ったもの。

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