ロレックス「サブマリーナー」と
クラウン マニアックス 日比崇幸さんとの関係
-「あの人と定番ウォッチ」Vol.1-

edit&text_Tsuneyuki Tokano photo_Satoru Tada

定番ウォッチの魅力に再フォーカスする新連載「あの人と定番ウォッチ」。第1回は東京・表参道の「クラウン マニアックス トウキョウ」のオーナーで、[ロレックス]のコレクター日比崇幸さんが登場。

買って後悔しない良い時計が欲しいけど、何を買ったらいいのか分からない。そんな人は多いはず。その時ひとつの指針となるのが、各ブランドで長年続いている定番ウォッチの数々です。この連載では、腕時計とそのオーナーとの間にあるマイ・ストーリーから、「定番」と呼ばれているモデルの魅力を紐解きます。第1回のゲストは、ライターからヴィンテージウォッチ専門店オーナーに転身という異色の経歴を持つ、「クラウン マニアックス トウキョウ」のオーナーである日比崇幸さん。自身が熱狂的なコレクターである[ROLEX(ロレックス)]の永世定番「サブマリーナー」の魅力について話をうかがいました。

理解を深めれば深めるほど、新たな魅力を発見できるのが「サブマリーナー」の醍醐味

東京・表参道のヴィンテージ[ロレックス]専門店「クラウン マニアックス トウキョウ」のオーナーであり、[ロレックス]の熱狂的コレクターである日比さん。好きが高じてライターから時計屋に転身した異色の経歴。

誰もが知る“ダイバーズウォッチ”の定番であると同時に、腕時計の世界における“究極のスタンダード”のひとつに数えられる、[ロレックス]の「サブマリーナー」。

1953年の発表から今日にいたるまで、「サブマリーナー」はデザインの根幹を支えている基本的なコンセプトはそのままに改良を重ね続けることで、これまで多くの傑作を排出してきたロングセラーです。その過程で生まれた数々の意匠は、今日ではレアポイントとして高い評価を受けており、言語や国境の壁を越え、世界中の人々を魅了しています。

「はじめて『サブマリーナー』を買ったのは約10年前。当時はそこまで時計に関心があったわけでもなく、ファッションの延長線上で[ロレックス]の時計に憧れていました。古着が好きだったこともあって、はじめて買ったのは、通称“赤サブ”と呼ばれるRef. 1680です。傷だらけでブレスレットも伸び気味でしたが、それが逆にものすごく格好良く思えたんです」

ダイバーズウォッチとしての機能ではなく、あくまでも『サブマリーナー』が持つ骨太な格好良さに惹かれたという日比さんは、Ref. 1680を購入して以来、ヴィンテージロレックスの世界にのめり込んでいきます。

「基本的にヴィンテージウォッチは水や衝撃に弱いから、たとえダイバーズウォッチである『サブマリーナー』であっても水中には潜れません(笑)。けれども、その時代ならではのディテールだったり、個体ごとに異なる独特の雰囲気は、それを補って余る“中毒的な魅力”があります。潜水という過酷なミッションをこなすために生まれた『サブマリーナー』のモデル変遷は、言ってしまえば試行錯誤の歴史。それゆえ、一口に『サブマリーナー』といっても、実はさまざまなバリエーションがあります。その豊富な選択肢の中から自分らしいテイストを探し出せるのが、ヴィンテージロレックスにおける『サブマリーナー』の楽しみ方のひとつです」

実際に日比さんが所有する『サブマリーナー』のコレクション、あるいは「クラウンマニアックス トウキョウ」に並ぶ品々を見ると、その言葉は一段と重みが増していきます。

「これまでヴィンテージに該当する『サブマリーナー』をほぼ全型番を買ってきましたが(笑)、それぞれの時代で異なる魅力があります。たとえば、1950年代の初期モデルは、そのどれも生産期間が極端に短い。ディテールの変遷もとても興味深く、ユニークな意匠はヴィンテージウォッチとしての評価に繋がります。そのわかりやすい例が、いわゆる『エクスプローラー』風の“3・6・9のダイヤル”を持つ、Ref.6200やRef.5513でしょうか。このクラスになると世界中のショップを見渡しても、まったくと言っていいほどモノが見つかりません」

写真中央の1963年製のRef.5513は、店頭に出ることはほとんどない究極のコレクターズアイテム。当時イギリスだけで販売していたと言われ、独特のアラビアンインデックスの持つ文字盤が最大の特徴であり、魅力。

 

近年、オークションハウスでの競売などの影響から「コスモグラフ デイトナ」の筆頭に、ヴィンテージロレックス(特にスポーツウォッチ)は異常なほど価格が高騰し、中には信じられないほどの高額で取引されている個体が存在します。それは当然ながら「サブマリーナー」もあてはまることです。

「確かに、資産としての側面を無視することは難しいかもしれませんが、『サブマリーナー』の魅力は、もちろんそればかりではありません。収集してから10年以上たった今、改めてその魅力を実感しているのが、ヴィンテージロレックス“定番中の定番”として知られている、Ref.5513のマット仕上げの文字盤を持つモデル。久々につけたくなって、つい最近買い直したばかりです。カレンダー表示がないシンプルな3針のスタイルは、まさに王道。初期モデルから続く 『サブマリーナー』の伝統を引き継いでいます。また、約40mmのケース径は現行モデルと比べると小ぶりですから、大きな時計が苦手という人にもおすすめ。出会いありきであることは他のヴィテージモデルと変わりませんが、まだ玉数はある方だから、好みのテイストを探しやすいかと思います」

日比さんが手に持つ、マット仕上げの文字盤を持つRef.5513は、あらゆる意味で定番にふさわしい1本。「サブマリーナー」のファンになって以来、何度も買い直し、その度に新たな魅力を発見しているのだとか。

次のページでは日比さんの「サブマリーナー」コレクションに迫ります。