連載「MY DOUBLE STANDARD」
[アシードンクラウド]デザイナー 玉井健太郎編

使い続けているのにはワケがある。あの人の2つの定番アイテムにフォーカス。

edit&text_Marina Haga / photo_Erina Takahashi

ファッション関係者、アーティストなど、自らのスタイルを持つ人たちが、自分にとって欠かせない定番をファッションアイテムと雑貨から2つピックアップして紹介する新連載「MY DOUBLE STANDARD(マイ ダブル・スタンダード)」。第6回目は、[ASEEDONCLÖUD(アシードンクラウド)]デザイナー 玉井健太郎さんが登場です。


 

01.「自分の生き方やスタイルにしっくりくるデザイン」の[ASEEDONCLÖUD(アシードンクラウド)]のノーカラーシャツ/ 定番歴:5年

[アシードンクラウド]の歴代ノーカラーシャツ。

ロンドンのセントラル・セント・マーチンズ芸術大学卒業後、イギリスの[MARGARET HOWELL(マーガレット・ハウエル)]のメンズデザインチームのアシスタントとしてキャリアをスタートした玉井さん。服飾学生だった当時から変わらず愛用していたのがアンティークのノーカラーシャツだったと言います。

「シャツの起源が肌着ということもあって、蚤の市にあるようなアンティークのシャツはダボっとしているものが多いのですが、ラフだけれど最低限かっちりしているバランスに惹かれました。衿がなくどこか中性的なデザインが、背筋は伸ばしつつもリラックス感が欲しいという自分のスタンスに合っているんですよね」

その後、働き始める[マーガレット・ハウエル]も、ビスポークのシャツでデビューを飾ったように、シャツがキーとなるブランド。ここでさまざまなタイプのシャツの平絵を作成することで、現在作っているノーカラーシャツに通ずるシャツの原型を学んでいくことになったと言います。そして生まれたのが“自分にとって定番の形”と断言する[アシードンクラウド]のノーカラーシャツでした。

「これまでのシャツの経験や知識の蓄積から自分にとっての定番を考え作ったのがこちらのシャツ。シンプルですが、細かいギャザーや身幅、衿先の形などを調整することで、ちょっとした柔らかさや動きやすさを計算していて、僕の作品の中で最も緊張感のある服とも言えるかもしれません」

服飾学生時代に蚤の市で購入したシャツ。肌着が起源ということを彷彿させる、ワンピースのように長い丈が特徴。

 

 
 

02. デザイン画において「この道具を信じきっている」という[STAEDTLER(ステッドラー)]の製図用シャーペン/ 定番歴:12年

(上から)ステッドラーの製図用シャーペン0.3mm、0.5mm

帰国後、日本の[マーガレット・ハウエル]のメンズデザインチームで働くことになったという玉井さん。アイテムの原型となる平絵を描く際に、先輩たちの描くものより自分の描く線が劣っているように感じたことから、いろいろ試行錯誤をするうちに自分に合った道具選びが重要だという結論にたどり着いたと言います。そこで、先輩の真似をして取り入れたのが、[STAEDTLER(ステッドラー)]の製図用シャーペン。

「デザインを始めた当時は、道具をあまり気にせず作業をしていたのですが、これは重さやグリップの滑り止めの感じがすごくフィットするんですよね。あとは描くときの筆圧が強いので、重量感がないと負けちゃったりもして。大枠で0.5mmを使用し、ステッチの部分などディテールは0.3mmで書き込んでいきます」

一見、ただ服が平面に置かれた状態を描いたように見えるデザイン画ですが、実際はもっと精密で人のボディを通しているように立体感を持たせるなど計算して書き込んでおり、線の細かさが求められているとのこと。その工程をイラストレーターでも出来る時代に手書きにこだわる理由とは。

「正直、作業スピードはデジタルの方が断然早いのですが、書く行為にその人の感情が宿る気がしていて。頭でイメージしたことを手で直結してやることは、直感を元にやっているのでこころなしか平絵が生々しくなる気がしますね」


 

 

玉井健太郎 / ASEEDONCLÖUDデザイナー
2005年セントラル・セント・マーチンズ芸術大学卒業。ロンドンでマーガレットハウエルのメンズデザイナーアシスタントを務める。帰国後は、山縣良和氏と[リトゥンアフターワーズ]を設立。2009年より[ASEEDONCLÖUD(アシードンクラウド)]をスタート。蚤の市で集めたボタンと小箱のコレクターでもある。