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連載「MY DOUBLE STANDARD」odol (オドル)Vo. & Gt. ミゾベリョウ編

edit&text_Marina Haga / photo_Erina Takahashi

ファッション関係者、アーティストなど、自らのスタイルを持つ人たちが、自分にとって欠かせない定番をファッションアイテムと雑貨から2つピックアップして紹介する新連載「MY DOUBLE STANDARD(マイ ダブル・スタンダード)」。第9回目は、新鋭の注目バンドodol(オドル)のVo. & Gt.を務め、一部ではヴィンテージ愛好家としても知られるミュージシャン、ミゾベリョウさんが登場です。

 

01.音楽活動と対極にあるデザインとしての服。ヴィンテージのスラックス/ 定番歴:3年

(右から順に)カーキ:50年〜60年代前半のアメリカ陸軍のスラックス。3年前、初めてワンマンライブをする時に購入。パープル:50年代のもの。他と比べるとシルエットが太めでそのサイズは35インチほど。自分のサイズより3〜4インチぐらい大きいものを絞って穿くのが好きとのこと。ブラウン:60年代のドレス用スラックスで、他2点と比べると細め。

古着への入り口がデニムだったこともあり、「デニムを正面から見れば、どのブランドの何年の物か大体分かる」と豪語するほど、生粋のヴィンテージデニムマニアで知られるミゾベさんですが、自身の定番としてピックアップしたのは、意外にもスラックス。その中でも、太めのシルエットを特徴とする40年〜60年代のものを好んで集めており、最近では「週6で穿く」という愛用率の高さだと言います。

「例えば古着黄金期とされる40年代、50年代の[Levi’s®(リーバイス®)]だと、結構な値段がついているのですが、それがスラックスになると同じ年代のものでも結構安く手に入るんですよね。クオリティはもちろん、シルエットも良い意味で今っぽくなくないところが気に入っています。あとは着ていて楽チンなので、『今日は頑張るぞ』という時に身に着けるデニムと穿き分けていますね」

そんなミゾベさんのスラックス蒐集の基準となるのがシルエット。年代によって異なるシルエットやデティールのあるヴィンテージスラックスたちを、素材やカラー別に揃えているとのこと。コーディネイトに取り入れ始めて約3年が経つ今は、ハマった初期との着こなしに変化が出てきたそうです。

「以前はくるぶしからプラス15cmぐらいのところでかなり短く切って穿くというのが好きだったんですが、最近は気分のせいか、足元に少し溜まっているくらいがかっこよく見えてきています」

odolの楽曲の作詞やボーカルとして表現者の立ち位置にいるにも関わらず、ファッション感はオーセンティックで、機能としてのデザインを好むプロダクト思考。「音楽と自分の好きな服は真逆の世界」というように、ミゾベさんの中にはそれぞれの分野に対しての定義付けがされていました。

「このスラックスをはじめ僕の好きな時代の服は、今のものと比べると、格好良さを重視したデザインではなく、当時の使いやすさや耐久性、自分の仕事や身分を表すようなもの。言うなれば、使うために作られた服たちですよね。音楽はその対極で、誰もやっていないことを目指すものだと定義しています。自分の中で、服と音楽が反対にあるからこそ、ファンとして服を好きでいられるし、“音楽=アート”を突き詰めていけるんじゃないかなと思います」

製造年代の判別に一役買ってくれるディテールである[TALON(タロン)]のジップ。「ヴィンテージを着想源にする現行の服にも当時の[タロン]のジップを使うことがある」とミゾベさん。

 

 

2.物心ついた時から食卓にサーブされていた [KAY BOJESEN(カイ・ボイスン) ]のカトラリー/ 定番歴:20年

こちら3本はコレクションのほんの一部。右側のスプーンは通常よりもサイズが大きめ。

父親が北欧を中心とするデザイナーブランドなどの雑貨を扱う会社に勤めていたことから、いわゆる、“有名デザイナーの定番品”のような家具や雑貨が家庭にあったというミゾベさん。古着に対して熱量を持つようになったのが高校生の時だった一方で、それらの良さに目覚めたのは、実家を離れ一人で上京をしたタイミングだったと言います。

「実家に家族の人数分のカトラリーのセットが用意されていて、自分で食事ができるようになった5歳ぐらいからずっと使っていたのがこの[カイ・ボイスン]のカトラリー。デンマークのデザイナーの作品なので、物によっては少し大きすぎることもあるのですが、通常より大きいサイズのスプーンを使ってカレーを豪快に食べられるのが、気持ちよくて好きでした」

たまに実家に帰ると当たり前だった何かに気付かされることがありますが、ミゾベさんが再認識したのは、幼い頃からそこにあった食器類や家具など。ここにも、ヴィンテージにハマるきっかけとも通ずる、ミゾベさんの物に対する趣向が垣間見られました。

「実家に帰って置いてあるものを見ると、例えばこれまでたださり気なくそこにあった[Louis Poulsen(ルイスポールセン)]の照明などの家具や雑貨がかっこいいなと思うことが多くて。ヴィンテージを掘るようになったのも、現行品のオリジナルとなったアイテムが着たいということがきっかけだったのですが、自分が使う雑貨などの身の回りのものも、真似たものではなくオリジナルで揃えたいなと思うようになりました」


odol Vo. & Gt. ミゾベリョウ
2014年に結成され、既存のジャンルでは形容できない美学と新たな日本のバンドポップスを奏でる6人組、odol。今年10月には、2年半ぶりにアルバム『往来するもの』をリリースし、さらに進化したメッセージ性の強い歌詞や音楽性を見せつけてくれたばかり。12月1日(土)福岡を皮切りに年末にかけて、大阪、東京と「odol TOUR 2018 "往来"」をスタート。
「これまでは作品を作ることに主眼を置いて活動してきたものを、この1年は音源を再現するのではないライブの生感を感じてもらえるよう努力してきました。イヤホンで聴くのとは違う、僕らの集大成が詰まったパフォーマンスを見せられると思います」

「odol TOUR 2018 "往来"」ツアー
2018年12月1日(土) 福岡・INSA
12月2日(日)大阪・CONPASS
12月16日(日)東京・渋谷WWW

「年末調整GIG 2018」
12月21日(金) 愛知・池下CLUB UPSET

http://odol.jp