プロに聞く洗濯術 ―ファッション現場の洗濯とは? スタイリスト森田晃嘉―
「現状復帰」が前提の仕事人、ファッションスタイリストがリアルに使う万能洗剤6選
edit&text_Marina Haga / photo_Erina Takahashi
最近家庭でもこだわる人が増えている衣類の洗濯。ところが、しっかり洗ったつもりでも匂いや汚れが落ちていなかったり、間違った洗い方で衣服をダメにしてしまうような経験がある人もいるのでは。服を大切に着る人が多い『エバーメイド』の読者には、服を大切にしているプロの洗濯術を知っていただきたい! というわけで今回は、華やかにも見える仕事ながら、高度な洗濯も仕事のひとつだと言う、当サイトでもおなじみのスタイリスト・森田晃嘉さんに、実際にファッションの現場で行なっているという洗濯方法をレクチャーしてもらいました。
これまでに約20点の洗剤を試し独自に実験を繰り返して見つけたという、家庭の洗濯にも応用できる万能洗剤アイテム6点をピックアップ。
プライベートの洗濯とは真逆。“現状復帰”をカギとするスタイリストの洗濯
「職業柄、洋服のサンプルを借りるのですが『借りた状態で返却する』ということが大前提にありまして。撮影中に付けてしまった匂いや汚れを落とさなければならない中で、リース品なので洗剤の匂いを付けてしまってもNGなんですよね。なので、仕事現場で使う洗剤はすべて無香料が絶対条件。なおかつファンデーションや体臭など、撮影で多い汚れに確実にアプローチできるアイテムを常備しています」
ーそんな森田さんが実際に現場で使っている6つのアイテムとは?ー
01.「自分の中ではこれが最強洗剤」。洗濯の仕上げに投入する「バジャン」
「これまでいろいろな洗剤を試してきたのですが、自分の中ではこれが最強洗剤。実際に強いワキガの外人のモデルさんの匂いも完璧に落とすことができました。個人的にハーブなどの香り付きのタイプだと、なんとなく匂いで誤魔化されている感じがあるのですが、無香料なので確実に落ちているのも実感できます」
02.「バジャン」と合わせて使うとより効力を発揮する「ウタマロ石けん」
「僕よりも衣服を洗濯する機会の多いアシスタント曰く、[ウタマロ]は最も安定感のある石けんとのこと。頑固なシミを落とす際、他のシミ落とし用の洗剤だけだと汚れが少し残っていることが多いのですが、それを使った後に「ウタマロ石けん」を塗って揉み洗いして洗濯機に入れて洗うと、完璧に落とせます。白シャツの黄ばみにも効果的です」
03.海外ロケでの洗濯は「トラベルウォッシュ」さえあれば安心
「仕事柄、撮影で海外に行くことも多いのですが、数日の滞在だとインナーなどがどうしても汗で汚れがち。その際に、水質を選ばず使用できるので、これを使ってホテルの洗面台で洗濯をするようにしています。水に溶けやすく少量で汚れが落ちるので経済的なところも魅力」
04.汚れがついたらすぐ使うのがコツ。[SHARP(シャープ)]の超音波ウォッシャー
「持ち運びができる上に、洗剤なしでも使えるので撮影現場で汚れをつけてしまったときにすぐ対応できるのが便利。こすったり叩いたりしてシミをケアするクリーナータイプは、汚れは落ちるものの生地の多少の毛羽立ちは否めないのですが、これは衣類に優しく、布傷みを抑えながらしっかり汚れをオフできます」
05.部分的なシミにスポットでアプローチするペン型シミ抜き
「撮影で付けた泥や食べ物などの小さいシミは、このペンで叩いて下処理します。ポイントは油性と水溶性を併用するということ。シミは色々な成分が混ざっていたため、片方だけだと完全に対処するのが難しいのですが、合わせて使うことでしっかり落とすことができます」
06.できてしまった大きなシミはスプレータイプで豪快に対処
「使う用途はペン型のシミ抜きと一緒で、こちらはモデルが服を脱ぎ着するときに付いた襟元のファンデーションの汚れなど、広範囲のシミにアプローチするときに使います。スプレーした後は、洗濯機に入れて『バジャン』で洗うと完璧です」
“借りたものは元の状態に戻す”という徹底したプロ意識のもと集められた森田さんの洗濯グッズ。これらの頼れるアイテムを日々の洗濯に投入すれば、諦めていた部分汚れや臭いを一掃できそうです。今回の洗濯指南を参考に、洗濯の基本を一から見直してみては。
―「プロに聞く洗濯術」次回は、オリジナルで開発したナチュラル洗剤を量り売りして歩く、陽気な兄弟“洗濯ブラザーズ”が登場します。―
スタイリスト 森田晃嘉 1979年生まれ、岐阜県出身。宇佐美陽平氏に師事し、2010年に独立。『エバーメイド』や『アイスクリーム』をはじめとするファッション媒体や、ダンサーやアーティスト、俳優のスタイリングに従事。洗濯においてはこだわりがあり、事務所にはあらゆる種類の洗剤をストックし日々研究している。