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連載 「うマイ定番」 Vol. 01 MARKAWARE デザイナー / 石川俊介
「ぎゅんた 尼崎本店」のすじかすモダン


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みんなの「“ときどき無性に食べたくなる”私のとっておきメシ」を紹介。
初回となる第1回目は、[マーカウェア]のデザイナー、石川俊介による「うマイ定番」、「ぎゅんた 尼崎本店」のすじかすモダン。

焼いたソースの臭いは、関西育ちの僕にとってソウルフードの香り

関西地方のお好み焼きは、水溶き小麦粉とキャベツ、その他の具材を混ぜたものを鉄板でパンケーキのように焼くスタイルですが、僕の「うマイ定番」のお好み焼きは、生地をクレープ状に焼いてから具材を乗せていく「広島風」の「重ね焼き」。”すじかすモダン”は神戸の長田、春日野道、そして僕の育った尼崎市周辺のお好み焼きです。

普通の広島の重ね焼きは千切りキャベツと味付けしていないそばを乗せますが、ここではソースで味付けして炒めた焼きそばとキャベツを載せます。また通常お好み焼きで使われる肉は豚肉ですが、神戸の一部と尼崎では「あごすじ」と呼ばれる牛の顔のすじ肉を使います。そして「かす」は油かす。これが風味付けと食感の変化に大きな役割を果たします。焼き上がり直前に鉄板の上で卵を割って半生の目玉焼きの状態にし、その上にお好み焼き本体を載せて全体に卵を馴染ませ、すぐに裏返して完成です。

ここに神戸の地ソース会社(「薔薇ソース」など)の酸味が強く少し濃いめのソースと、自家製ヤンニンジャン(通称「辛いの」)をかけて食べます。卵が半熟の状態で、それがソースとヤンニンジャンの味を少しマイルドに。お好みで青のりと粉鰹を振りかけますが、僕は粉鰹たっぷりが好み。焼いたソースの臭いは関西育ちの僕にとってソウルフードの香りで、書いていても食べたくなってきます。

子供の頃からお気に入りだった尼崎市の2つの店は閉店してしまい、今回紹介する「ぎゅんた」は大学生〜社会人になりたての頃まで2〜3週間に1度ほど通った店。尼崎の中でもちょっと怪しい場所にある、こじんまりした家族経営の小さな店で、今でも里帰りや出張の時に寄っている「うマイ定番」です。

 

お問い合わせ
ぎゅんた 尼崎本店
住所:兵庫県尼崎市南武庫之荘10-60-8
TEL:06-6436-0918

石川俊介
デザイナー。2009年に[MARKAWARE(マーカウェア)]をスタート。ミリタリーウェアなどに深い知識を持ち、細部までこだわったモノ作りで知られる。近年はサステナブルな背景もテーマにしており、『エバーメイド』でも2018年秋に取材http://parkingmag.jp