ミニマムかつ超現実主義。MoMAにも愛された[バング&オルフセン]のデザイン力とは。

デザイナーズ家具のようなオーディオ機器を解剖

edit&text_Marina Haga / photo_Nobuyuki Shigetake

最新技術も数年後には古いものになってしまったりを繰り返す中で、高額なオーディオを選ぶのは勇気も要りますが、それでも良いものを欲しくなってしまうのは音楽好きの性(さが)というもの。
そこで、本物趣向の読者にデザイナーズ家具と同様の立ち位置でおすすめしたいのはデンマークの高級オーディオブランドとして知られている[Bang & Olufsen(バング&オルフセン)]のプロダクトです。

スタンリー・キューブリックの世界観を彷彿させる、シルバーのフォルムをまとった先鋭的なルックスを特徴とするプロダクトは、機能はもとより、デザイン性の高さを最大の武器にしてオーディオ業界の最先端を牽引してきました。

一言で“オーディオブランド”と括れない美意識が凝縮されたデザインは、「MoMA(ニューヨーク現代美術館)」パーマネントコレクションに選ばれるほどの実績を誇り、これら過去のプロダクトを見るとマテリアルやデザインなどから現在のラインナップに通ずるオリジナリティを垣間見ることができます。

ここでは、「MoMA」のパーマネントコレクションに認定された銘機たちを振り返るともに、11月末にリリース予定の家庭用デザインオーディオの新製品「Beosound Edge」の魅力を解剖します。


 

 

時代を代表する世界的なプロダクトデザイナーが参画したコレクション

分かりやすさを基準として作られた日本製の製品に対して、直感的なインターフェイスをデザインに落とし込み、ミニマリズムを極限まで追求した[バング&オルフセン]のプロダクト。このモダニズム精神を具現化するのには、自社にデザイナーを設けずに、ある特定のプロダクトデザイナーを招集することで実現できていたのかもしれません。「MoMA」のパーマネントコレクションに認定されたアイテムだけでも、3人のデザイナーがプロダクトデザイナーとして参画していました。

電話機や腕時計などのプロダクトデザインで知られる、デンマークを代表する世界的なプロダクトデザイナー、ヤコブ・イェンセンがデザインを務めた、Tuner Ampliflier「Beomaster 3000」。(1968)
同じくヤコブ・イェンセンがデザインを務めた、レコードプレヤー「Beogram 1200」。「Beomaster 1200」と同様に1969年に製作。彼が1968年に手がけたモデルは、他にも2つほど「MoMA」のパーマネントコレクションに認定されています。
(キャプ)1985年の発売から2013年までロングセールスを続けたカナダのインダストリアルデザイナー、スティーブ・マクグフェンが手がけたヘッドフォン「Form 2」。2013年には本機をベースにマイクリモコンユニットを追加した「FORM2i」が誕生し、現在でも多くのオーディオファンを魅了し続けています。
z1960年半ばからヤコブ・イェンセンのアシスタントとして従事し、CD隆盛期にブランドのメインデザイナーとして活躍した、デビッド・ルイスによるスピーカー「Beolab 6000」。

当時から現代まで共通したブランドの特徴として挙げられるのが、素材にアルミニウムとブラックのファブリックを採用しているということ。特にアルミニウムに関しては、他社に先駆けて50年以上も続く技術で、自社内にアルマイト加工処理施設を構えるほど真摯に研究。ミニマルでスタリッシュなデザインに欠かせないブランドを象徴する素材であることが伺えます。

 

 

“今”を象徴するデザイナー、マイケル・アナスタシアデスによる新スピーカー「Beosound Edge

[バング&オルフセン]の最新作である家庭用オーディオ「Beosound Edge」は、“エレガントなコイン”を着想源に、照明デザイナーとして広く知られているマイケル・アナスタシアデスによって作られたもの。

彼が手がけた[FLOS(フロス)]の球体型照明や[Herman Miller(ハーマンミラー)]の「スポットスツール」を見てもわかるように、斬新と言えるくらいオブジェクトの要素を切り取り仕上げていくのが彼の作風ですが、こちらもその独自のプロセスにより、純粋なフォルムと機能を備えたバランス感のあるプロダクトに仕上げています。

マイケル・アナスタシアデスが手がけた[フロス]の球体型照明と、[ハーマンミラー]の「スポットスツール」。
ユーザーのタッチを解析するように設定されており、スピーカーを前後に動かすことで音量を調節できます。タッチを強めると変化も大きく、体で音を体感しながら音楽を自在に楽しめます。

オブジェのような円を見ていていると、思わず触れて転がしてみたいという衝動に駆られるもの。実はそれが音の操作方法の一つで、タッチを解析する設計によりスピーカーを前後に回転させることで音量が調節できます。もちろん、ブランドの他のアイテム同様に音のコントロールは、B&Oの専用アプリからも操作可能とのこと。

さらに、スピーカーユニットを両面に備えているため、現代の住宅のニーズにもしっかり対応。つまりは、「True360全方位モード」ではサウンドを部屋いっぱいに響かせることができる一方で、片面から鳴らせば音を響かせたい方向に向かってのみ音楽をかけられるという、フレキシビリティに富んだ設計というのもポイントです。

左から順に、アルミニウムのボディが仕上げられていくプロセス。

過去から現在のプロダクトに見られる様に、アルミニウム素材を使用することが、デザインやサウンド、そして操作性を一体化した銘機を生み出してきた秘密とも言えそうです。

スピーカーの心臓部は、ポートが音量に合わせて開閉しており音響性能を効果的に調整。

 

頭の中で思い描くホームスピーカーとは全く趣の異なる[バング&オルフセン]の新機種。「MoMA」のパーマネントコレクションをはじめとする歴代の銘機を理解し昨今のコレクションを見てみると、他にはない想像力に富んだクリエーションを続けてきたことが分かります。



INFO:TFC 
TEL: 03-5770-4511 
https://www.bang-olufsen.com