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色あせない[ロレックス]のスポーツウォッチ。ヴィンテージの目利きがその理由を語る。

 

edit&text_Tsuneyuki Tokano photo_Satoru Tada

買って後悔しない時計が欲しいけど、何を買ったらいいのか分からない。そんな人は多いはず。その時ひとつの指針となるのが、各ブランドで長年展開し続けている定番の数々です。本連載【あの人の定番時計】では、腕時計とそのオーナーとの間にあるマイ・ストーリーから「定番」と呼ばれているモデルの魅力を紐解きます。第3回のゲストは、「エンツォ ショップ/ギャラリー エンツォ」の中井一成さん。内外で指折りの目利きとして知られている、ライフスタイルショップのオーナーが考える定番時計の基準とは。

 

現代のライフスタイルに寄り添う、色あせない定番プロダクト

ファッション、時計、クルマなど多岐にわたり、ヴィンテージから最新のプロダクトまで明るい中井さん。その審美眼は定評があり、各界の著名人やクリエイターから厚い信頼を集めています。なかでも氏が最も得意とするのが、ヴィテージに該当する[LEICA(ライカ)]や[ROLEX(ロレックス)]のプロダクトです。

「この数年、[ロレックス]のスポーツウォッチの人気は凄まじいものがあり、市場から良質な個体が激減していて、入手がすることが困難になりつつあります。そこで自分らしいスタイルを模索した結果、お店を金沢から加賀へ移転して、予約制の営業にシフトしました。情報やモノが氾濫している中、質の高いプロダクトをしっかり提供していきたいと思っています」

良質な個体であれば、エントリーモデルですら200万円前後からのスタートと、数年前とは比べものにならないほど価格が高騰しているというのが、ヴィンテージロレックスのスポーツウォッチを取り巻くリアルな現状です。一体、この数字は何を意味するのか。中井さんはそれについて、このような見解を述べています。

「ヴィンテージウォッチの市場において、[ロレックス]の人気は別格だと言え、その勢いは世界的なオークションハウスでの落札価格を見てもよく分かります。そもそもの話になりますが、[ロレックス]のスポーツウォッチ、[ライカ]M型、あるいは空冷時代の[Porsche(ポルシェ)]911らに対して、なぜこれだけの付加価値が生まれているかというと、その理由のひとつは、あらゆる時代を通じて、工業製品としてのクオリティが抜きん出て優れていることです。これはスペック云々ということではなく、“プロダクトとしての完成度”を意味します。美術工芸品のような雰囲気と実用品としての信頼性。この2つの要素を完璧に満たしていることが、これらのプロダクトの共通点であり、大きな魅力なのです。何よりこれだけ高価でも売れるのは、希少性や人気もさることながら、現代のライフスタイルにも違和感なくフィットする“色あせないデザイン”であることが挙がります」

自身の定番だという[ロレックス]の「エクスプローラー」について、年代ごとの細かな仕様の違いについて説明する中井さん。

不変的なデザインだからといって、必ずしも売れ続けるわけではない。「一生モノ」というセールストークが飛び交う昨今のハイエンドクラスのマーケットは、逆説的に“トレンドの重要性”を教えてくれます。

「確かにヴィンテージは魅力的かもしれませんが、そこだけに固執してしまうのはナンセンスに思えます。たとえば、[ロレックス]の『エクスプローラー』は、根本的なデザインはそのままに、その時代にごとにディテールや仕様をアレンジしながら絶えず進化し続けているのですが、仮に同じリファレンス(品番)であっても、年式や個体差によってテイストが変わります。その中から予算や好みに合わせて、自分にしっくりくる個体を選ぶ方が僕にはスマートに感じられますね」

昨年、発売と同時に購入した[ライカ]の「Q-P」は[ARTISAN & ARTIST(アルティザン&アーティスト)] のストラップを付けて愛用中。

次のページでは「エクスプローラー」をはじめとする、中井さんの愛用品を紹介します。