連載「新・定番論」
Vol.1 スタイリスト 馬場圭介 編
[馬場圭介 新定番の3品]
“宮下は面白いもの考えるよね。ほんと天才だよ。”
メイドイン・イングランドものを中心にした馬場さんの定番を見てきたので、「新定番」にはどんな英国ものが出てくるのかと思ったら、まさかの3アイテム全てが[TAKAHIROMIYASHITATheSoloist(タカヒロミヤシタザソロイスト.)※以下、ソロイスト.](!)。少し意外ではありましたが、そこには馬場さんと[ソロイスト.] のデザイナー、宮下貴裕さんとの長年の親交がありました。
その1 [タカヒロミヤシタザソロイスト.]のバッグ
[NUMBER (N)INE(ナンバーナイン)]の時代から、宮下さんと親交があるという馬場さん。最近でもその交流は続いていて、夜もよく一緒に遊んで音楽談義などをしているそうですが、[ソロイスト.]からリリースされるアイテムにはいつも驚かされるそうです。こちらは下のジップを開けると、被れるようになるというバッグ。
「雨が降ったら被るんだって。こんなこと誰も考えないよ。本当に天才だなって思う。同時にこの会社の人たちは大変だろうなーって同情しちゃうね(笑)」
その2 [タカヒロミヤシタザソロイスト.]のダウンベスト
還暦を迎え、先日東京・渋谷の「SOUND MUSEUM VISION」で有志が企画した盛大な誕生日会、「KEISUKE BABA Birthday Festival」が開催された馬場さん。多くのファッション関係者が集まったその会場で、馬場さんが着用して登場したのが、こちらの“赤いちゃんちゃんこ”代わりのダウンベスト。
「これは宮下に還暦祝いで貰ったんだ。確か普通のモデルはオレンジだったと思うんだけど、わざわざ赤いのを作ってくれたのかもしれない。聞いていないからわからないけど。実はダウンベストって着たことないから、どうやって着ようかと思っているんだけどね」
その3 [タカヒロミヤシタザソロイスト.]のデニムパンツ
こちらは未着用ながら、最近着用頻度が増えているという[ソロイスト.]のデニムパンツ。ちなみに馬場さんは服を買う時に「自分のサイズは分かっているから、あまり試着はしない」そうで、こちらはそれが災いし、サイズ選択を誤ってしまったものだとか。
「宮下が『絶対入るから』って言うので32インチにしたんだけど、入らないんだよ(笑)。だからこれが穿けるくらいに痩せてやろうかなと思ってる」
[馬場圭介にとって、“定番”とは?]
最後に馬場さんに、「ご自身にとっての定番とは?」という質問をぶつけてみました。
“誰かが定番って言っても、俺にとってそうじゃなかったら意味がないよね。だからあまり定番だとかって気にしたことはないけど、帽子はここ、シャツはここ、靴はここのものっていう感じで、ただ普段自分が着ているものが定番ってことじゃないのかな。”
馬場圭介(Keisuke Baba) スタイリスト / 1958年熊本県生まれ。28歳の時にロンドンに渡り、2年後に帰国。東京で大久保篤志さんのスタイリストアシスタントを経て1年後に独立。自ら影響を受けたブリティシュのストリートスタイルを軸に、ファッション誌や広告、タレントのスタイリングで幅広く活躍。現在はスタイリスト業の他、英国ブランド[The DUFFER of St.GEORGE(ザ・ダファー・オブ・セントジョージ)]の中で “classicsnew(クラシックスニュー)”のラインを監修。また2019年SSからは、フレンチ・ワークウェアをベースにした新ブランド[NORMAN(ノルマン)]のディレクションをスタート。偶数月第4木曜日には、英国カルチャーを楽しむナイトイベント「Royal Warrant Society(ロイヤルワラント・ソサイエティ)」を開催中。千駄ヶ谷の「COUNCIL FLAT 1」に行けば、馬場さんに会えるかも?
1冊まるごと馬場圭介特集! 新雑誌『PPF Magazine』 Vol.00 発売中。
“楽しみ方を考える”というコンセプトのもと、今年の10月に創刊された『PPF Magazine』の記念すべきVol.00号は、一冊丸ごと馬場さんの特集。
スタイリストの大久保篤志さん、野口強さん、[UNDERCOVER(アンダーカバー)]の高橋盾さん、[Hysteric Glamour(ヒステリックグラマー)]の北村信彦さんなど、豪華な面々が馬場さんの魅力を語りつくしています。
『PPF Magazine』Vol.00 馬場圭介 ¥1,620(税込)
http://www.on-point.jp/ppf.html
時間:月〜土曜日 12:00〜19:00 / 日曜日 12:00〜18:00
定休日:不定休
住所:東京都渋谷区神宮前2-23-1
《編集後記》
馬場さんと初めて現場でお会いしたのは10年以上前。以降、何度か現場でご一緒したり取材などもさせていただき、先日の盛大な「還暦パーティ」にもお邪魔してきました。集まったのは東京のファッションシーンの重要人物の方々ばかりでしたが、重くるしい雰囲気などまるでなく、誰もが楽しそうにしていたのが印象的でした。そして今回、「スタイルのある人」に聞く新連載企画「新・定番論」の第1回にご登場いただいたわけですが、いつも通りのシンプルな語り口の中に、馬場さんならではのスタイル論を強く感じました。「1冊丸ごと馬場さん本」が出たり、来年にはまた新しいブランドをスタートしたり。還暦を迎えて尚、その動向に目が離せません。(武井)