生活を「ととのえる」ことを続ける柴咲コウさんに訊く、“生きるを活かす”ライフスタイル
edit&text_Marina Haga / photo_Hikaru Morita
女優や歌手、実業家などさまざまなシーンで活躍中の柴咲コウさん。芸能活動20周年を迎えた昨年にはファッションブランド[MES VACANCES(ミ・ヴァコンス)]を立ち上げ、環境に配慮した物作りにトライするなど、表現者の枠を超え前に進み続けています。そんな意思のある生き方を貫く一方で注目されているのが、彼女のInstagramのポストを通して見えてくる、日々の小さな積み重ねから成る密度の濃いライフスタイル。手料理はもちろん、梅干しを干すなどこれまでのメディアを通して視聴者が知る顔とは異なる姿がありました。
今回は、忙しない日常に追われている現代人がついつい見失いがちな、日々を過ごすための心持ちについて、先日リリースしたばかりの彼女のライフスタイルを説いたフォトエッセイ『LIFE THE KO 生きるを活かす9のこと』に基づきながら話を伺いました。
自立して1番したかったのが「家づくり」
一人っ子という家庭環境もあって、昔から自らを癒す場所である「家」に憧れを持っていた柴咲さん。女優業で多忙だったこともあり、今回のフォトエッセイにあるような「ととのえる」生活が定着してきたのは30歳を超えてからだったとのこと。
「そもそも20代は更新を待たずに引っ越しをするくらい“引っ越し魔”だったのですが、20代後半ぐらいからひとつの決められた場所をいかに居心地よく改造するかということが楽しくなってきました。あとは、昔から猫を飼っているということもあり、家の中を潤わせたり生活しやすいスペースを作ることが好きでしたし、そういう環境に身を置くことに憧れもありました。ただ、憧れや背伸びではなく、地に足のついた生活が意識せずに定着してきのは、30歳を超えてからだったと思います」
生活を支える「住・食・器・茶・美・旅・歌・猫・衣」
今回のフォトエッセイを象徴するのが、「住・食・器・茶・美・旅・歌・猫・衣」という“生きるを活かす”ための9つのキーワード。基盤である衣食住のトライアングルをさらに大きく拡張させたもので、柴咲さんの生活の基盤が漢字で表現されています。
「日々生活をするということは、ただ心臓が動いてご飯を食べて寝るということだけでなく、そこに『幸せだな』、『温かいな』という感情があるのが大切。そういうことを日々感じられるように心掛けるのが、 “生きるを活かす生活”だと思っています」
仕事と日常を切り替えるのは植木の手入れ
そんな柴咲さんの現在の生活のルーティーンとなっているのが、植木に水をあげること。この習慣がオン・オフを行き来するための区切りにもなっていると言います。
「今年の夏は極暑だったので、植栽の手入れをして1日2回植木に水をあげるのが日課でした。一時期は仕事で出来ていなかったのですが、なるべく日が昇る前に早起きして、水をあげてお茶飲むぐらいの余裕が持てています」
また、「今の自分には何が必要なのか」という心の声を聞くような真面目な生活はもちろん、身に着けるものや手にする物をサステイナブルに基づいて選んでいる柴咲さん。環境に意識が向き、思想が代わりはじめたのは今から約10年も前のことであったそうです。
「会社を立ち上げる6年ぐらい前から、地球環境のために何か出来ないかという焦燥感がありました。それが30代に入ると、これまで本当の豊かさについての疑問がより大きくなり、何とか形にして行動したいと強く思うようになってきました。迷ったり考えたりする期間は長かったですが、ようやく今、少しずつ形になってきた気がします」
2冊同時リリースを記念して、現在、書籍の世界観をリアルに体験することができる写真展「柴咲コウ LIFE / THE KO ~生きるを活かす9のこと~展」が開催中。日々の暮らしを丁寧に紡ぐ柴咲さんの温かみのある人柄が垣間見れる空間になっています。柴咲さんの生活を彩る要素である、サスティナブルな洋服やライフスタイル雑貨、器や生活を彩る花、植物なども販売しているので、期間中に足を運んでみては。
会場:GALLERY X BY PARCO
営業時間:11:00〜20:00(入場無料)