それ、どこで見つけたの? 少し笑えるくらいが丁度良い、ほっこりTシャツが気分
edit&text_Marina Haga / styling_Nobuyuki Ida / photo_Kazumasa Harada / hair& make-up_Kentaro Katsu / model_Tomoyoshi Hirai(BE NATURAL)
インナーからチラリと覗く脱力系グラフィックに注目
ジャケットやシャツ、スウェット……と、日常の中で遭遇する、誰かがトップスを脱ぐ瞬間。近頃、それを視界に入れた時感じるのは、品が良くキメている装いの大人ほど、インナーのTシャツとのギャップがあるということ。やる気のなさそうなユルさとチープさが笑いを誘うとともに、それを選んだメンタリティに親しみさえ感じます。加えて、Tシャツのボディ自体には特筆点がないのもまたご愛嬌。
ここではニッチでも一部で定番化(?)している現象に着目し、子供のようでいてどこかアート性も感じる大人用ほっこりTシャツを選びました。
KEY WORDS 1.今スクール系を着るなら 2.映画公開中の今が絶妙のタイミング 3.アダルト・オリエンテッド的漫画シリーズ 4.実在するけど誰だか分からないのがパンク 5.ヤンチャアイコン、ガルフィーが今風に進化 6.ロックTはコメディタッチがカギ
今スクール系を着るなら
定番のカレッジプリントTシャツならぬ、架空のスキースクールを描いたユーモラスなスクールTが笑顔を誘います。先生が生徒にスキーの指導をしている風景は、幼い頃にスキー場で経験したシーンのデジャブ感がありシュール。さらに雪のシーズンでないのに、季節感のないテーマを身に着けていることにも、サブカルチャーを感じます。本場アイビーの方ではなく、“架空のスクールモノ”が気分です。
映画公開中の今が絶妙のタイミング
タランティーノ監督の“犯罪アンソロジー”の新作、『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』が公開され、再びその名がトレンドインしていますが、このタイミングで代表作『パルプ・フィクション』のツイスト・ダンスのパロディーTシャツを選ぶのもセンスの良さ。映画のジャケットをプリントしただけのTシャツはよく見かけますが、イラストでさり気なく取り入れるくらいが“ほっこり”ポイント高めです。
アダルト・オリエンテッド的漫画シリーズ
韓国から“昭和グルーヴ”、Night Tempoの逆輸入の動きも然り、ドラマなら浅野温子主演の『抱きしめたい!』や、角松敏生サウンドに藤原カムイの漫画など、懐かしいテイストにインスパイアされたカルチャーが起こっている中で、アニメチックなTシャツが一部の人の琴線に触れているよう。この時代の漫画特有のベタッとしたドローイングや雑なプリントによる未完成な落とし込みが、装いの抜け感に一役買ってくれています。
実在するけど誰だか分からないのがパンク
LINEスタンプにおいて、一般アジア人の実写スタンプがブームとなっているように、フリーダムかつブートレグなアイテムがごまんと見つかる時代。“知らない人の顔を使う”という少々エチケットを犯したようなことがコミュニケーションになっています。こちらのTシャツも、もちろん“誰だか分からない”外国人をフリーにプリントしたもので、趣あるプリントに対してその姿はパンクそのものです。
ヤンチャアイコン、ガルフィーが今風に進化
ヤンキー&極道を象徴する『エバーメイド』の読者とは程遠い存在(?)であろう、可愛い犬のキャラクター、ガルフィー。影響力のアーティストなどの着用によりここ数年であの頃のイメージから一転し、お洒落なアイコンに変わりつつあります。昔は縁がなかったという人も、不良感ゼロになった“今”のガルフィーは、遊び心あるデザインとして安心して身に着けられます。
ロックTはコメディタッチがカギ
かつてハードで個性的だったロックTも、近頃はグラフィカルでファッション性の高いテイストが増えています。ロックTを得意とする[chi-bee]では、そこにユルさと可愛らしさを主張しているのが新鮮。Tシャツに登場するキャラクター、ネルソンでは、品が良くインテリジェンスに見える人でも、どこかに奇妙さを秘めている様子が描写されています。