【FROM EDITOR】グッドモーニング・レミーマルタンXO。
普段からよくお酒を飲んでいる編集長の武井です。いつもは酒場でハイボール、レコードバーではアイリッシュウイスキーのソーダ割りを飲んでいますが(どっちも似たようなものだ)、先日[REMY MARTIN(レミーマルタン)]さんのお誘いで、高級コニャック「レミーマルタンXO」の体験イベントにお邪魔してきました。
表参道の豪華なレストランのイベントホールに集合時間は朝の10時。このイベントで丁寧な案内をしていただいたのは、本国フランスのレミーマルタン社のインターナショナル・ブランドアンバサダーを務めるフロリアン・エリアール・デュブルイユさん。
1985年にメゾン・レミーマルタン 現オーナーファミリーの4代目として誕生ということで、非常にお若い方です。実は昨年に上海の別ブランドのイベントで食事の席が隣だったことがあるのですが、若くて気さくな方だったので、そんな宗家の方だとは露知らず。他愛のない会話を楽しませていただいていたら、とても由緒ある生まれの方と知り、後ほど恐縮してしまった思い出があります。
今回開催されたイベントでは、「高級コニャック『レミーマルタンXO』の斬新な楽しみ方が体感できる」ということでしたが、実際にどんなことをするのかは分からず、現場で初めて体験することになりました。
個人的には普段はあまり飲みつけないコニャック。しかも「レミーマルタンXO」は高級酒なので、イベントなどの時にいただく程度です。
まずは300年近い歴史ある「レミーマルタン」の説明を受けますが、そのこだわりやクラフツマンシップには改めて驚かされます。さすがにここで一気に書ききれないので詳細は省きますが、このフランスの広大なぶどう畑と熟成樽の写真を見ていただければ、少しはその奥深さが伝わるかもしれません。
ここで「セラーマスター」という「レミーマルタン」の味を見極める方の監視のもとで最低でも14年以上熟成されたものが「レミーマルタンXO」として市場に並ぶというわけです。
まず最初にいただいたのは、「オー・ド・ヴィ」と呼ばれるぶどうを蒸留した無色透明の原酒。アルコール度数70%なのでそのまま飲むことはできないのですが、その香りを味わうところからスタートです。そこから実際の「レミーマルタンXO」の香りを確かめつつ、試飲していきます。この間、フロリアンさんが鼻元に運んで感じられる香りを、さまざまな植物や食べ物の香りに喩えてガイダンスをしてくれます。
コーヒーでも何でもそうですが、その道の専門家の方にガイダンスを受けながら香りや味をテイスティングすると、本当にその言葉通りの香りや味が脳内に現れるのが不思議です(もしくはとても単純脳なのか)。
2口、3口と喉を潤しているうちに「朝からこんなに強いお酒を飲んでいいのだろうか」と頭をよぎったのですが、「人の味覚がもっとも鋭敏なのは午前中」だそうで、この時間のテイスティングにも意味があるのだと教えていただきました。よって、遠慮なくいただくことに(笑)
そして今度は「フードペアリング」。テイスティング部屋の別の扉を開けると、奥にはこんな豪華な別室が現れました。「レミーマルタン」のイベントは毎回こうしたサプライズがあるので、気が抜けません。
ここに並んでいる植物や食材は、すべて先ほどフロリアンさんがテイスティングの際に示唆してくれた香りのキーワードたち。花、ドライフルーツ、果物、ナッツ、チョコレートにスパイスにスイーツや蜂蜜などがテーブルに盛り付けられている姿は絵画のように壮観です。「XO」にはここにあるすべての食材や花のアロマ、フレーバーが感じられる400種以上の原酒がブレンドされているのだとか。
これらの食材の香りや味を確かめながら、グラスに入った「レミーマルタンXO」を味わっていくのですが、少し自分の嗅覚や脳内イメージを変えるだけで、このお酒の中からは違う香りや味が交互に現れてきます。普段は”何となくお酒を飲む”ばかりの自分にとって、これはちょっとした驚き。厳選されたぶどうと蒸留、熟成というシンプルな工程の先に、こんな複雑な香りや味が現れると知ったことは収穫でした。
この体験イベントは1時間ほどで終了。テイスティングからフードペアリングまで存分に楽しませていただいて、ほろ酔い気分で会場を後にしたのでありました。朝から高級酒を飲むというレア体験もさることながら、お酒の中にあるさまざまな香りを楽しむという新しい経験は新鮮でした。
「レミーマルタン」はとても長い歴史を持ちながら、頑固なところは頑なに、そして時代に合わせるところは合わせてその味わい方を提供している、まさにEVERMADE.的なお酒です。なかなかこうした特別な体験をするのは難しいかもしれませんが、バーでこのお酒を注文したときにはその香りやペアリングを楽しんでみてはいかがでしょう。(武井)