いま使いたい、アメリカの食卓を彩る定番食器3ブランド
ダイナーやアメリカの一般家庭で使っているような、
シンプルでスタンダードな食器とは?
edit&text_Gyota Tanaka photo_Yasuhisa Takenouchi
ハンバーガー、ステーキ、サンドウィッチにスープやコーヒー。ダイナーやレストラン、映画などに見られるアメリカンフードを演出するカップやプレートは、とてもシンプル。でもいざ気になって探してみると、どれが本当にスタンダードなものなのかが分からないものです。今回はそんな憧れのアメリカンな食卓に様変わりする食器の中でも、知っておきたい3つのブランドをご紹介します。
アメリカ食器 vol.2はこちらから。
① Fiesta / フィエスタ
映画やテレビドラマで登場するアメリカ食卓のド定番食器メーカー

定番のプレート。カラフルなフィエスタは白で統一するとシックな雰囲気に。洋食器には見られない厚みがあるのでオススメ。プレート中(23cm)¥1,570+TAX
1871年に設立されたホーマー・ラフリン社は全米最大のセラミックス(陶器)メーカーで、1936年から家庭用食器ブランド[Fiesta(フィエスタ)]の製造を続けています。日本ではあまり馴染みがありませんが、70年以上にわたりアメリカの家庭で使われ続けているベストセラーブランド。しっかりとした厚みがあり、耐久性にも優れ、シンプルなデザインも70年以上姿を変えていません。狭い日本の食卓では「プレート中サイズ」や「小サイズ」が合うようです。

ブランドアイコンともなって人気のカップ&ソーサ¥2,600+TAX、マグカップ¥1,380+TAX。スープやサラダボウルとしても使えるリムスープ¥1,980+TAX(右)、パスタやカレーなどに使えるオーバル小(24.5cm)¥1,980+TAX(左)
[フィエスタ]の食器は、あのシーンでも使われている?
[フィエスタ]の定番はプレート、そしてカップ&ソーサ。アメリカのテレビドラマ『メンタリスト』で主人公パトリック・ジェーンがターコイズ色、『アリー・マイ・ラブ』でアリーがローズ色のものを使うなど、さまざまな劇中でも使われています。
マニアックどころでは、映画『ア・クリスマス・ストーリー』(1983年)という9歳の主人公のファミリーとその友達がみんなおバカ丸出しのコメディ映画があるのですが、そのまさに“THE USA”といった食卓に出てくるのが[フィエスタ]の食器でした。[フィエスタ]は家庭用ブランドですが、同時にアメリカン・ダイナー、カフェ、ハンバーガーショップ、メキシカンなどの料理店で業務用としても幅広く使用されています。24色(!)という豊富なカラーバリエーションの[フィエスタ]は、食卓に幸せを届け続けています。
② MIKASA(ミカサ)
アウトレットモールから普及したアメリカの家庭用食器

ホテルの朝食で出てきそうな上品かつオーセンティックな印象のMIKASA「Concord」。ボウル15(15.4cm)¥600+TAX、パスタボウル(22cm)、マグカップS(8.8cm)¥800+TAX、プレート16(15.8cm)¥600+TAX、プレート22(22.1cm)¥800+TAX、プレート27(27.4cm)¥1,300+TAX
日本の高度経済成長真只中の1957年(昭和32年)、[MIKASA(ミカサ)]は当時アメリカで好調だった日本製の高品質ディナーウェアを世界の主要国へ広めるためにアメリカで誕生したブランドです。主な販売先として、アウトレットモールなど大型商業施設からヒットしたのはアメリカならでは。家庭用食器として普及し、その市場はカナダにまで広がり大きな成功を収めました。当時の家庭用としては多少高価な食器ではありましたが、耐熱陶器なのでオーブンレンジでそのまま使用できる利点もあり、日本製食器と比べサイズも大きく、こちらのシンプルでオールドアメリカンなデザインの「コンコード・シリーズ」は、アメリカの家庭に馴染みやすかったと推測されます。

「Concord」はナチュラルホワイトにブルーラインのシンプルなデザイン。シリアルボウル18(18cm)¥800+TAX。
日本に帰ってきた、アメリカ食器
アメリカ発祥のブランドでありますが時代の移り変わりとともに衰退し、本国のアメリカンコンマーシャル社も閉鎖となったため、現在は硬質陶器のディナーウェア生産で知られる日本の岐阜にある陶磁器工場・丸利玉樹利喜蔵商店が[ミカサ]の生産を継承しています。洋食器からモダンな和食器が流行の現在では、[ミカサ]の初期モデルも廃盤となってしまったそうだが、カジュアルウェアはMIKASAと言われる地位は不動のもの。ホテルの朝食で出てくるようなデザインの「コンコード」は、ブランド創設時から長く愛されるシリーズなので、是非とも家庭で使ってみたい食器。日本では高島屋など百貨店やアマゾンなどで購入が可能です。
③ Bauer Pottery / バウアーポッタリー
コレクターがいるものうなずける、カリフォルニアの確かなハンドメイド

色合いが明るくポップなカリフォルニア・デザインの「BAUER POTTERY」。JUMBO CUP(直径10cm)¥5,500+TAX、CEREAL BOWL(17cm)¥5,000+TAX、SALAD PLATE(21cm)¥4,600+TAX、LUNCHEON PLATE(27cm)¥5,200+TAX
鮮やかなオレンジが印象的な[Bauer Pottery(バウアーポッタリー)]は、1885年ケンタッキー州で創業した陶器メーカー。当初はウィスキーボトルや水差しなどは地味な色合いで安値な陶器でしたが、カリフォルニア州へ移転後はフラワーポットなどガーデニング用陶器を製造し始めます。1929年の世界恐慌の折、人々の気持ちを食卓や日常目にする物から少しでも明るく、そして楽しくしていきたいという気持ちからデザインを一新、瞬く間にアメリカの食卓で普及するようになりました。

同じ原材料、同じ製法でも気候によって色味が異なる。年代や釜ごとにやや色ムラが出るのも一つ一つ手作りならでは。
ひとりのコレクターが復活させたブランド
シトラス畑やパームツリー、太平洋、コーストラインの夕日など、普段カリフォルニアの人々が目にする自然の色からインスパイアされているという[バウアーポッタリー]は、歴史上たくさんのオフィシャル本も出版されています。ヴィンテージやカリフォルニア好きの中で愛用する人が多く、日本でも多くのコレクターが存在するほど。そんな[バウアーポッタリー]ですが、1962年に一度廃業するも1998年にコレクターのひとりであり、現デザイナーの手によって復活。現在も当時の製法と変わらない製造場を構え、カリフォルニアの地で一つ一つ手作りで生産しています。日本ではカリフォルニアの空気を醸し出す「ロンハーマンカフェ」で実際に使用されています。

1998年ブランド復活後は裏面に「2000」の印字が入り「BAUER 2000」として復刻。モールドも忠実に作製しているので見た目もヴィンテージと変わらない作り。
そして現在、[バウアーポッタリー]では、新たなモデルも増えています。インテリア好きなら、こちらのカップ&ソーサと、ソルト&ペッパーの陶器がおすすめ。こちらはアメリカを代表する工業デザイナーのラッセル・ライトがデザインベースなのですが、実はラッセルの食器を[バウアーポッタリー]の工場で生産しているのです。ハーマン・ミラーとカリフォルニアのモダンデザインを発展させたラッセル・ライトのモデルも、[バウアーポッタリー]としてリリースしています。

「ラッセル・ライト」デザイン陶器はBAUER POTTERY工場で生産する。AMERICAN MODERN DEMITASSE CUP & SAUCER(カップ10cm・皿15cm)¥7,200+TAX、(カップ7cm・皿11cm)¥6,300+TAX、AMERICAN SALT & PEPPER(55cm x 50cm)¥6,800+TAX
朝昼夜、和食にとどまらず様々な外国食も食する日本の食卓には、華やかさとオールドクラシックが入り混じる“エバーメイド”なアメリカ食器が似合うはず。テイクアウトやデリバリー注文したピザやハンバーガーなどもアメリカ食器に移すだけで、ガラリと映画や本場の世界へと様変わりします。是非ともご家庭で色とりどりのアメリカ食器を使ってみてはいかがでしょうか。
《編集後記》食卓で使う食器に気を配るようになってから、食事の気分が変わりました。洋食器もいいけどアメリカ食器もまたいいんです。見た目や形など好みから入った自分にとって、アメリカ食器は大きく、ちょっと重いし多少面倒なこともありますが、慣れてしまえば問題なし。窓の日差しや照明によっても食卓の彩りが変わるし、家庭料理の見た目も美味しさもアメリカ食器のお陰で2割増しになった気がします。その日の気分で食器を統一するもよし、ミックスするもよし。自分に見合ったライフスタイルを探し続けることは楽しいです。(ライター 田中行太)