連載「新・定番論」
Vol.1 スタイリスト 馬場圭介 編

スタイルのある人に「長年の定番」3つと、「直近の新定番」3つを聞く新連載。第1回目はスタイリスト、馬場圭介さんによる「新・定番論」。

edit&text_Yukihisa Takei / photo_Ko Tsuchiya

スタイリストの馬場圭介さんは、日本における英国ストリートスタイルの伝道師でもあり、長年にわたる数々のファッション誌や広告、タレントのスタイリングの活躍で知られています。

先日60歳の還暦を迎えたばかりの馬場さんは、スタイリスト業や自ら携わるファッションブランドのディレクションの傍ら、今年の春に東京・千駄ヶ谷の事務所にヴィンテージショップ「COUNCIL FLAT 1(カウンシル フラット ワン)」を開き、自ら“店番”として接客業も開始するなど、より自由なワークスタイルを実現。その仕事振りだけでなく、人柄にもファンの多い馬場さんのお店は、ファッション好きたちの集まるスポットになっています。

スタイルのある人に定番と新定番を聞く新企画の第1回は、そんな馬場圭介さんにご登場願いました。馬場さんらしい目線の「新・定番論」とは。

東京・千駄ケ谷の馬場さんのお店、「COUNCIL FLAT 1」の店内には、英国を中心にした古着やグッズがたくさん。
どこまでが売り物で、どこからが馬場さんの私物なのかが分かりにくいところも魅力の一つになっています。

“無理して流行り物着て、似合わなかったらどうしようもないじゃん。”

[馬場圭介 長年の定番3品]

その1[ドクターマーチン]の10ホールブーツ

“俺にとってメイドイン・イングランドは「絶対」だね。”


馬場さんの足元をいつも固めているのが、[Dr.Martens(ドクターマーチン)]の10ホールブーツ。これは馬場さんがかつて[GB(ジービー)]というブランドを手がけていた際に[WTAPS(ダブルタップス)]とコラボレートして作ったもの。今では希少なイングランド製で、つま先にスティールの入ったスティールトゥ・タイプは、ロンドンのスキンズたちも愛用した本格派です。

「デニムを穿く時はいつもこれ。マーチンのブーツで一般的なのは8ホールだけど、俺は10ホール派。8ホールだとデニムをロールアップした時に、俺にとっては収まりが悪いんだよね。で、これを履く時は、紐を上までキチキチに締める。レースアップした時に上が空いているのが嫌なので、少し大きめを選ぶようにしている。だから電車に乗っている時なんかに若いヤツがルーズに履いているともう、締め直してあげたくなっちゃうんだよ(笑)」

馬場さんの手がけたブランド[GB]とコラボレーションした[ドクターマーチン]の10ホールブーツ。[GB]のオリジナルワッペンと黄色いシューレースがポイント。

ちなみに馬場さんの[ドクターマーチン]のブーツ歴は、80年代中盤にロンドンに2年半住んでいた頃からなので30年ほど。ゆえにこだわりたいのは英国製なのだとか。

「俺にとってマーチンのメイドイン・イングランドは“絶対”だね。国の問題もあるけど、形も微妙に違うんだよ。だから自分が持っているのは他に5〜6足あるけど、全部メイドイン・イングランド。このモデルはもうラスト1足になっちゃったので、もっと買っておけばよかったなと後悔してる」

その2 [フレッドペリー]のハリントン・ジャケット

“だって、人と同じじゃつまらないじゃん。”

[FRED PERRY(フレッドペリー)]の“ハリントン・ジャケット”も、馬場さんがいつも着ている愛用品。ハリントンが好きな理由の一つは、「多少汚れたり、雨が降ってもあまり気にしなくて良いから」だそう。1年に1着くらいのペースで購入しているので、現在でも10着ほどは手元に残っているそうです。こちらは4年ほど前に購入した、オリーブカラーのモデル。

「これもメイドイン・イングランド。毎年ハリントンは購入しているから、素材違い、裏地違いで似たやつをいっぱい持っているけど、オリーブ色は珍しい。これがマーチンの10ホールとも相性がいいんだ。ハリントンもやっぱりスキンズのスタイルだね。寂しいけど、今のロンドン行ってもこういう格好している人はあまりいない。このスタイルでロンドンに行くと、『イギリス人よりもイギリス人っぽい』とか言われるし(笑)。でも、もうスタイルは変えようがないからな」

バッジのセレクトやレイアウトも自己流。好きなバンドや“BABA”になるアルファベットなど、 馬場さんらしいレイアウトになっています。

そのまま着るのではなく、バッジで自由にデコレーションして着るのも馬場流。乱雑に貼り付けたようでもありながら、そのレイアウトに“こなれ感”が出ているのは、なかなか真似できないけれど、真似したいところ。

「バッジは適当だよ。好きなバンドのバッジと、BとAのやつをみつけてきて“BABA”にしたり(笑)。俺はわりとこういうのを付けるのが好きだからね。バッジを付ける理由? だって人と同じじゃつまらないじゃん」

その3 [KIJIMA TAKAYUKI]のハット

“毎日同じ服ばかり着ているよ。”

最近馬場さんが愛用し、アイコンの一部になっているのがこちらのハット。こちらもメイドイン・イングランド?と思いきや、日本の[KIJIMA TAKAYUKI(キジマタカユキ)]のものでした。

「ロンドンに行くと『ロック&ハッターズ』なんかにも見に行くし、昔は被っていたけど最近はこればっかりだね。これはカメラマンの水谷太郎がコラボレーションしたもので、俺の誕生日祝いにくれたんだ。クラウンの高さも気に入ってる。たくさんの帽子を被ってきたけど、これが収まりがいいみたいだね」

[ドクターマーチン]の10ホールブーツに、[フレッドペリー]のハリントン・ジャケット、そしてこの[キジマタカユキ]のハットなど、馬場さんの「長年の定番」セレクトはまさにいつもご本人がリアルに愛用しているものばかり。

「若い頃はいろんなものを着てきたよ。その中で似合わないものを着なくなっただけ。最近はほとんど服は買わないし、毎日同じものばかり着てる。考えるのはTPOくらいかな。結局自分に似合うものは変わらないよね。新しいものも沢山見ていて興味はあるけど、好きな服と似合う服は違うから。だって、無理して流行り物着て、似合わなかったらどうしようもないじゃん」

次のページでは、馬場圭介さんの新定番について