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古着はOK? これからのファッションは買い方が鍵。
[Text]デザイナー、石川俊介さんが新しい買い物の価値観を指南【前編】

edit&text_Marina Haga / photo_Erina Takahashi / cooperation Shunsuke Ishikawa(Text)

 

【前編】では具体的に実行に移すための買い物コツを伝授

ファッションにおいて何を着たいかという意思はもちろん、その選択の仕方やこだわりは人の数だけ存在するもの。世の中は増税を目前に控える中ファッションの新シーズンが立ち上がり、いろんな意味で買い物を仕切り直すこのタイミングで提案したいのが、今シーズンはこれまでの自身のモノ選びの価値観に、「サステイナブル」という別の視点もプラスしてほしいということ。
 
昨年秋に[MARKAWARE(マーカウェア)]のインタビューで、サステイナブルについて説いてくれたデザイナー・石川俊介さんでしたが、そこからさらにその取り組みが熱を増し、この秋よりサステイナブルに特化したユニセックスブランド[Text(テクスト)]をローンチ。前回のインタビュー時より、さらにその本質にまた一歩近づきつつある石川さんに、新ブランド[テクスト]を通して見えてくる、サステイナブルな未来の買い物の哲学を伺いました。

 
 

「丁寧な暮らし」ブームのワナ

テン年代を境に、毎日身に着ける衣類や道具の選び方を指南するような書籍やライフショップが増え始め、近年は飽和状態に突入。「丁寧な暮らし」、「持たない生活(ミニマムライフ)」などそのジャンルを示すキーワードの頻出で消費喚起なワナにはまり、本質が分からないまま表面的に終わってしまうケースもしばしば。そんな俗に言う「丁寧な暮らし」の根源に触れるなら、サステイナブルやSDGsの理念を知った上でチョイスが必要だったりします。この価値観に本当の意味で応答していくために、具体的な物の買い方を変えいくタイミングがきています。

 

目次
1.新しい時代の洋服の選び方
2.いまこそ消費者が変わるタイミングな理由
3.[テクスト]を知れば未来の買い物が見える ※9/20(金)公開

 

 

1.新しい時代の洋服の選び方

1枚1000円のTシャツと5000円のTシャツ。

どちらを選ぶのが正解?

80年代から先進国の大量消費が進み、ゼロ年代に入ってからより加速してきたファストファッション。これは地球から取れた資源をどれだけ安い値段で販売できるかの価格の競い合いのビジネスであり、物が溢れる現在において選択の基準が “価格”にある現状があります。しかしサステイナブルな観点から物選びをすると、必ずしも価格で物を選ぶのが正しくないことが分かります。

 

「大きな問題は、“安く便利に”という価値観を起点に、地球から取れる限られた資源を、農地を広げて単位面積の収穫量を上げていくことに精を尽くしているということ。そのように対応していかないと、消費者の高まるニーズに応えていけないので、無理やり生産し続けてしまっている現状があります」(石川さん)

 

そこで、無理をすればするほどどんどん環境負荷が大きくなっていくなら、資源をどれだけ高付加価値にしてその価値を高めていけるというのが、石川さんが言うサステイナブル。1点ごとの価値が高まるため消費者の負担は以前よりも大きくなるかもしれませんが、実質的に原材料を作る人や間にいる人の生活を潤すことになり、結果、世の中の循環が良くなっていくという考えです。ワンシーズンだけで終わるものを買うのをやめて、長く使うことを前提に価格に見合ったものを選択していく力が問われます。

 

積極的に古着を取り入れるのもあり

もう一つ石川さんがサステイナブルなことだというのが、古くなったものを再利用してアップサイクルすることができる、古着。着るものの選択として古着を選ぶことは、経済活動としてかなり有効なことだと言います。

 

「例えば、1万円のTシャツが1万円だけの経済活動で終わるのではなく、2000円になってもセカンドハンドで売られることで、12000円分の経済価値を成し遂げたことになります。古くなっても商品価値があり、古着として流通していくのはサステイナブルなこと。だからヤフオフやメルカリにもっと加給しても良いと思いますし、アパレル側も未来の価値を創造していく服作りをしていかなければならないと思います。買うことがゴールではなく、その後それをどうするかを考えるのが重要です」(石川さん)

 

商品を買って終わりはNG

考えてみてば、車や時計の市場ではブランドの価値を下げないために、自社メーカーの中古マーケットがあり、古い自社製品を高値で買い戻すという企業努力がある中で循環しています。しかしファッションブランドやメーカーで考えると、まだその仕組みが存在しなく、石川さんはそこを重要なマーケットとして捉えていました。

 

「少し前は、『RAGTAG』や『コメ兵』などのリアル店舗がそのようなことを担っていましたが、最近はネットで簡単にできるようになっているのでブランドやメーカー側も重要なマーケットとして捉えてくことが必要ですね。サステイナブルはお客さまに買ってもらった後のことも気にかけるのが大事なことなので、ゴミとせずに何かしら価値を持たせる努力が必要です」(石川さん)

 

次のページは「いまが消費者が変わるタイミングな理由」を紐解きます。