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“立ち止まって進化する”
nonnative 藤井隆行 インタビュー

デザイナー・藤井隆行さんに聞く18年。そして服としての原点を見つめた2018AWシーズンについて。

edit&text_Yukihisa Takei / photo_Kiyotaka Hatanaka

東京のファッションブランドの中でも独特のポジションをキープしている[ノンネイティブ]。2001年から18年間にわたりこのブランドのデザイナーを務めているのが、藤井隆行さんです。

他のストリートカジュアルのブランドと比較してもアイコニックな派手さはない中で、そのプロダクトとしての機能やシルエットのオリジナリティが常に評価され、東京ブランドの各所に影響を与えて来ました。

目まぐるしく変わるトレンドの中、2018AWシーズンにはより原点回帰とも言える服作りに立ち返ったという[ノンネイティブ]。その現在進行形の心境を藤井さんにうかがいました。

“変えないようにしているというよりも、
僕にはこれしかできないんですよね。”

藤井隆行と[ノンネイティブ ]の18年

EVERMADE.(以下EM) : 藤井さんが[ノンネイティブ]をデザインして今年で18年目ということですが、拝見している中では方向性やデザインは大きくは変わっていないですよね。変化の激しいファッションの中で、ブレずに続いているってすごいことじゃないかと思うんです。

藤井隆行(以下 藤井) : 変えないようにしているというよりも、僕にはこれしかできないんですよね。それこそ高校生の頃から、自分の好きな服のシルエット、イメージするスタイリングみたいなこともずっと変わっていない。好きな雑誌のページだとか、街で「あの人の服装、格好いいな」って思う感じとかも同じなんです。

EM : しかしパンツ一つとっても、トレンド感って半年くらいでめまぐるしく変わりますよね。太さ、丈感、股上みたいなことが気がつくと変わっている。でも例えば[ノンネイティブ]のパンツは基本細身が多いというのもベースとして変わらないですね。

藤井 : そうですね。今は4タイプありますけど、基本は細身です。チノとかで太いパンツを作ろうとした時もあったんですよ。そういう衝動は過去何度もありましたけど、そこは我慢というか。時代に合わせちゃうと、どのブランドも似たようになって、世間で飽和してしまうところもありますし。でも結局のところは自分があまり好きじゃないから太いパンツを作って来なかったんだと思います。一時期1番細いモデルをやめたシーズンもあったんですが、リピーターの方から「やっぱり細いのが欲しい」とも言われることが多いので、継続になりました。

EM : そこはもう[ノンネイティブ]のスタイルがユーザーの中にも浸透して、その人のスタイルにもなったからですよね。

藤井 : そうでしょうね。だからオンラインでの販売を始める時にはそれなりに葛藤はあったんですけど、気をつけたのは「できるだけサイズ感を変えない」ことだったんです。お店で試着しなくても、同じサイズ感のものを届けられるように。そういうこともブランドのサービスの一つかなと思うんです。

“続けることもブランドとしてのギャランティー(保証)のひとつ”

EM : 藤井さんはブランドを続けることにこだわってきた部分はありますか?

藤井 : 服を買うのって、どこか怖いじゃないですか。来年には無くなってしまうようなブランドのものは持っていたくないから、みんな慎重に選ぶわけです。だからお客さんのことを考えると、続けることもブランドとしてのギャランティー(保証)のひとつだとは思っていて。[HERMES(エルメス)]とか[ROLEX(ロレックス)]もそうですけど、まあ自分が生きている間は無くならないだろうなっていうブランドのものは、自分の子供に引き継げたりもできそうですよね。

EM : そうですね。

藤井 : もちろん服ってそこまで“重い”ものじゃないけど、買う時はやっぱり「5年後ちゃんとあるのかな」とかって考えます。いま流行っている中でも、潰れるんじゃなくて、デザイナーが飽きて辞めちゃうんじゃないかなって思うブランドはありますし、僕が始めた頃に同世代でやっていたブランドも、気がつけば残っていなかったりしますから。

EM : 確かに18年ともなれば、そういう変化も多いですよね。

藤井 : だからと言って、「頑張ってきました!」みたいのは僕の中にないですけど、やっぱり自分自身も人と交流しながら人間的に成長しないと、そういう“サボっている感”が服に出ちゃうところはあると思うので、そういう努力は続けてきたところはありますよね。

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