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“立ち止まって進化する”
nonnative 藤井隆行 インタビュー

[ノンネイティブ]が考える“服の目的”

“「買い換える」んじゃなくて、「買い足してもらう」服でありたい”

EM : 最近海外ブランドはデザイナー交代劇が多いですよね。カリスマデザイナーが亡くなってしまったりしたら仕方ないとは思いますが、あまりに変わると、過去のシーズンを買っていた人の気持ちはどうなんだろうと思う時があります。

藤井 : それも戦略だし、そういうところも逆手に取っているんでしょうけどね。でもガラッと変えてやっていくというのは違和感ありますよね、やっぱり。

EM : あと以前、昔自分で買ったものを久々に引っ張り出して着ていたら、「懐かしい!モノ持ちいいですね」と、そのブランドの関係者に言われたことがあるんです。他意はないんでしょうけど、作り手側の中では完全に過去のものになってしまっているんだなと。「あれ?長く着られるって聞いて買ったはずなのに」って(笑)。藤井さんは過去自分が作ったものに関してはどういう気持ちですか?

藤井: 僕の場合は、「買い足してもらいたい」という感じですね。“買い換える”んじゃなくて、“買い足してもらう”。だからと言って物づくりを変えないようにしているわけではないですけど、以前の物とどう合わせてもらえるかは考えています。服って新しいのを一つ買うと、何かが要らなくなったりしますよね。僕の服はそういう時でも「要らない側」になって欲しくないというか。だって服って、たとえ穴が空いてしまっても、好きだったら着るじゃないですか。だからどうやって好きでいてもらえるか、みたいなことは考えて作っています。

EM : それって10年ほど前に別の取材で「機能ウェア」に関してインタビューさせてもらった時に藤井さんがおっしゃっていた、「クローゼットの一番手前に来る服でありたい」という話にも通じますよね。機能はそのための副次的要素だという。

藤井 : その頃から考えは変わらないですね。確かその頃は[ノンネイティブ]でもGORE-TEX®が使えるようになって(※GORE-TEX®の使用は厳しい基準をクリアする必要があるため、許可を得ているブランドは少ない)気持ちも盛り上がっていた時だと思います。そういうインタビューはたくさん受けたんですけど、「撥水にこだわっていますよね」みたいに何度も聞かれるけど、そうではないと。「防水とか撥水が重要なんじゃなくて、快適であれば仕事もはかどるとか、そういうことなんです」と繰り返しましたね。僕は自分の服が負担になって欲しくないというか、服は生活を助けるものだと思っているんです。もちろん「見た目で判断されたい」みたいな人が多いのも分かっているし、それを全く否定はしないけど、僕はそういうタイプじゃなくて、もっと着る人の中身の方が重要だと思っているタイプなので。

EM : そういう部分はこの18年で伝わってきたんじゃないですか?

藤井 : そうですね。そういうお客さんに支えられています。僕自身のイメージも、どこかクリエイティブな仕事をしている人に向けているところもあるんですよ。それも決して派手な仕事じゃなくて、もっと黒子的な人というか。だからいわゆる“ファッション大好き”みたいな人とか、持っていることを自慢したいみたいな人には物足りないブランドかもしれないです。

EM : そういうところも含めて、[ノンネイティブ]や藤井さんがやっていることって、極めて“東京的”ですよね。

藤井 : そうかもしれないですね。なんていうのかな、ちょっと「ドライ」というか。海外のバイヤーさんからもそういう受け止め方はされていますよね。

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