共通テーマは「距離」。『天気の子』公開直前!新海誠監督の過去作を振り返る 03.男性から支持される『秒速5センチメートル』
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edit_Makoto Hongo / text_Marina Haga / photo_Nahoko Suzuki
感情が沸き立ち、何かが動き出す永遠不変な夏アニメ
“秋の思い出”と言えば月並みですが、それが夏の出来事となると過去の情景を鮮明に思い出したり、ノスタルジーに駆られることも。真っ青な空や夕方から夜に変わる時間の空気、庭に咲くひまわりなど、日常に潜む美しい瞬間が切り取られ残像として覚えています。 日本国民にそんなイメージを強めさせる要因のひとつとして上げられるのが、夏アニメ。細田守監督の『時をかける少女』も、ジブリ作品『耳をすませば』や『コクリコ坂』も夏が舞台だったりします。 “夏の日出来事”を描いた多くの作品がある中で、新海誠監督もまた夏に青春と懐古感を結びつける監督の一人。夏に空を見上げると思わず“新海誠っぽい空”を見つけることもあるほど、幻想と写実の狭間を描いた世界観に心を動かされます。ここでは7月19日(金)より公開される『天気の子』に先駆けて、公開日までカウントダウン形式で作品をプレイバック。本人のTwitterによると、7月7日に作業が終了したばかりの出来立てほやほやの最新作を楽しむにあたり、どの作品にも共通するテーマであるキーワード「距離」にも注目を。
01.『ほしのこえ』はこちらから。
02.『雲のむこう、約束の場所』 はこちらから。
03.『秒速5センチメートル』 / 2007年公開
貴樹の気持ちとシンクロ。女性より男性に評判がいい理由は?
聖地:東京参宮橋駅付近、栃木県岩舟町、鹿児島種子島
単館上映でありながら半年に及ぶロングランを記録した新海誠監督の3作目。お互いに運命の人だとは実感しつつも、中学校進学をきっかけに離ればなれになった男女を軸にストーリーが展開されていくよくある恋愛ストーリーですが、その評価を見てみると劇中の心のポエムや喪失感が、女性ではなく多くの男性の心を捉えているよう。そんな極端な意見の分かれ方からか、“過去を美化”しがちな男性と“今が一番大切”な女性の恋愛観の違いを象徴する作品とも言われており、価値観によって感情移入の仕方が変わってきます。恋愛観には共感できなかったという人でも、多かれ少なかれ忘れられない存在や取り戻せないものが存在するなら、ストーリーに入り込めるかもしれません。