“50年の歴史の上に立つブランド” CDGの魅力
[COMME des GARÇONS(コム デ ギャルソン)]から、
アイコニックなロゴを用いた新ブランドがデビュー。
見る角度によって変わるブランド
[コム デ ギャルソン]は、見る角度や深さによってさまざまな印象を提示するブランドです。もちろん日本が誇る世界的ファッションブランドの一つなのは言うまでもありませんが、[コム デ ギャルソン]というカンパニーのもとで多数枝分かれしているブランドそれぞれが異なる個性を持っていることも手伝い、一口に説明することをさらに困難にしています。
その一部を知っていても「[コム デ ギャルソン]を理解している」とは言えませんし、全体像を知ろうと門前に立ったと思えば、奥にはまた深いクリエイション哲学や歴史も控えています。常に革新的なだけでなく普遍的な部分も共存し、いつも周囲の予想を超える大胆さも併せ持っているので、その存在感は常に新鮮。移り変わり激しいファッションの世界において常に注目されるのは、こうしたまるで禅問答のようなレイヤーにもあるとも言えるでしょう。しかし何より強いのは、いつの時代もシンプルに「着たい」と思わせる服がそこにあったことです。
いま、あえてロゴにフォーカス
2018年7月20日、この[コム デ ギャルソン]から新しいブランド[CDG(シーディージー)]がデビューしました。この[CDG]はもちろん[COMME des GARÇONS]の略称ですが、今までの同ブランドではあまり見られなかった、ロゴを強く打ち出したプロダクトになっています。ブランドにとって“ロゴもの”は、そのブランドの強さのバロメーターのようなものです。ところが[コム デ ギャルソン]は自身のブランド力を知りながら、あえてあまりロゴにフォーカスしてこなかったところがあります。むしろデザインが醸し出すものや、服を見るだけでそれと分かることの方に重きを置いて、服にとってロゴはさほど重要なものではないと暗に語るようなクリエイションを展開してきました。それは安易にロゴやマークだけに流される時代や他所のブランドに対する反抗のように映る部分もありました。それゆえ、ブランド設立から50年近く経った今日になって、ロゴを強く打ち出したブランドを展開することを意外に思った人は多いはずです。
[CDG]のプロダクト
[CDG]のショップは東京・表参道GYLEビルの2Fにあった[D&DEPERTMENT]との共同プロジェクト「GOOD DESIGN SHOP」の跡地に作られ(大阪・南船場にも同時オープン)、一部のプロダクトはそのショップでも展開されていたものが継続されています。今回リリースされたプロダクトは、どれも非常にオーセンティックです。「シンプル」、「復刻」、「コラボレート」という3つの柱をもとに構成されているのは、Tシャツやニット、キャップ、コーチジャケット、コートといったベーシックなものが中心。「復刻」に属するところでは1980年代のパリコレ時にスタッフが着用していたサテンのコートも継続販売されています。
コラボレーションは定番揃い
[CDG]は「コラボレート」先のブランド自体がオーセンティックです。長年同ブランドと取り組みを続けている[PORTER(ポーター)]、[MOONSTAR(ムーンスター)]のシンプルなシューズ、[ALPHA INDUSTRY(アルファインダストリー)]と作ったMA-1風のモッズコート、そして[Hanes(ヘインズ)]との3枚パックTなど、まさに各界の定番ブランドと協業しています。
“50年の歴史の上に立つブランド”
ここに紹介したのは[CDG]の全ラインナップの一部で、全体では85ものプロダクトが今回のローンチでリリースされました。一部はすでに完売しているとの情報もありますが、今回の[CDG]に関しては、それほど悲嘆する必要はなさそうです。というのもほとんどのモデルは継続的な販売が見込まれているようで、生産が追加されればまた入荷の可能性があります。こうした継続性も[CDG]のひとつの側面です。また[コム デ ギャルソン]初となるEC販売も、今回周囲の予想をひとつ飛び越えたトピックでした。
そして、ここまで見ていただいた方は当然お気づきかと思いますが、やはり目が行くのはそのプライスです。他の[コム デ ギャルソン]ブランドよりも手に入れやすい価格になっているところは、旧来のファンにとっては嬉しいだけでなく、これから[コム デ ギャルソン]を着たいと思う人の敷居を低くするはずです。
冒頭に述べたように[コム デ ギャルソン]のイメージは、その人がこのブランドに接しているディメンションによって変化しますが、今回の[CDG]の登場は、まさにこのブランドを見る新しい角度を生んだと言えそうです。
[コム デ ギャルソン]が、「[CDG]は50年の歴史の上に立つブランド」とコメントしたのはおそらく、慎重だったロゴものやEC展開もこれまでの実績があってこそ踏み出せたもので、「よりそのクリエイションが自由度を勝ち得た」ことを告げているようにも感じます。
TEL : 03-3486-7611
CDG / 東京都渋谷区神宮前5-10-1 GYRE 2F
TEL : 03-3406-2323
CDG OSAKA / 大阪府大阪市中央区南船場3-12-22 2F
TEL : 06-6120-9211
CDG ECサイト
https://jp.cdgcdgcdg.com
edit&text_Marina Haga / photo_Kengo Shimizu