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CONVERSE ADDICT 10th Anniversary
N.ハリウッド 尾花大輔が語るコンバース アディクト

 “そう。でも、こういうところが[コンバース]かな”

尾花 : 当時これは内側をホースハイドで作ったと思うんですけど、この[アディクト]がその復刻なんです。「オールスター」で2万2000円とかって、当時の[ミスターハリウッド]は安いアイテムが大半だったので、それに比べるとかなり高く感じていました。「果たしてこの値段で、2000足なんて売れるのかな」と思ったら、まさかの2日で完売とかになってしまって。

EM : すごいですね。2000足を2日で。

尾花 : ところが、とにかく自分も必死な時期だったので、気づいたら、自分用にそのモデルを買ってなかったんですよ(笑)。後悔もしていたら、2016年頃にスタイリストの野口強さんが「大輔、またあれ作らないの?もう何足も履きつぶして、後が無いんだけど(笑)」と言われたんです。強さんもずっと気に入って履いて頂いてたのは知っていて。でも時間が経ってしまったのと、様々な事情もあり、当時のラスト(足型)はもう使えないわけですよ。

EM : そうなりますよね。15年くらい経ってしまったわけですから。

尾花 : うん。「でも、やりたいんでやれるところまでやってみます!」ということで、今に置き換えて、今の技術で[アディクト]の中でやってみようと。このモデルは、強さんのお声がけで始まったのもあったので、シュータン内側の「プレイヤーズネーム」の部分に強さんのサインを入れてもらったんです。そして、2017年のゴールデンウィーク頃に限定販売しました。でもね、これがまた2時間くらいで完売しちゃって、俺バカだからまた自分の分が買えなかったの(笑)。

EM : またですか(笑)。

「チャックテイラー」ではおなじみ、シュータン内側のプレイヤーズネーム部分には、復刻モデルのきっかけを作ったスタイリストの野口強さんのサインが。

尾花: このモデルはソールをビブラムにしたり変えているところもあるんですけど、完全復刻ではなく、今の靴作りのルールの問題などで、内サイドのアイレットの位置や距離感を調整しなければならなかったんです。(アイレットを指差して)この違い、分かります?

EM : 比べればさすがに分かりますけど……細かい違いですね。

尾花 : そう。でも、こういうところが[コンバース]かな。アイレットの位置やステッチ、ちょっとしたカーブの違いだったり、そういうところ。

EM : こうした細かいニュアンスのディレクションはどのようにやっているのですか?

尾花 : 簡単なラフ画を描くんですけど、まあ基本はこの形じゃないですか。だから「ステッチの色をソールの色から何パーセント低くして」とか、ほぼ口頭ですね。

EM : そしてコンバースサイドも尾花さんが言っていることをすぐに理解できてしまう。

尾花: そうそう。「何年のあのモデルにはこういうのありましたよね」と言えば、「はいはい」と。これは歴史があって今もいいモノを出している[リー]とか[ラングラー]もそうですけど、ちゃんとブランドに愛のある会社とは言葉だけで伝わるところがありますよね。

EM : デザイナーとメーカーの阿吽の呼吸が通じるわけですね。

尾花 : そして彼らも当然のように言った以上のことをやってくれるし、そうじゃない時は「こういう理由でできなかった」とかちゃんと言ってくれる。やっぱり我々は[コンバース]の靴を作るのは専門じゃないし、僕はあくまでもデザインですから。そういう意味でも、お互い対等なクリエイティブに対する向き合い方でやらせてもらっていますよね。

最後は尾花さんが考える定番としての[コンバース]の魅力について