野口強が語るデニムスタイル論
そしてMINEDENIMについて。
[マインデニム]に込めているもの
EM : 今はどんなファッションブランドもデニムをラインナップするようになっています。そういう中で[マインデニム]はどういう個性を出そうと思われていますか?
野口 : まあ基本的にはベーシックなものしかやらないんで。ただ、例えば「スキニーの穿き心地のいいもの」って、実はあんまりないんです。自分がこれまで他のブランドのスキニー穿いても、「膝の裏あたりが窮屈だな」とか、「これじゃ座敷の店に行けないな」とかあるわけです。やっぱりそれは解消したかった。大人が穿いても若い子が穿いても、とにかく穿き心地がいいもの。色落ちにしても、黒があんまり落ちないようにしたり工夫もしていますが、もはや加工とかは、ウチも含めてそんなに大差は出ないと思うんです。
EM : 15年くらい前は薬品の加工がイマイチだったりしましたけど、もう今は……。
野口 : パッと見のツラは変わらないですよね。だから一度穿いてもらわないと分からない。むしろ穿いてもらえば分かるし、リピーターの人も多いんで。ただ、今って男にはブルーのデニムが売れてないですよね。ブラック系しか売れていない。
EM : 黒がデニムの「新定番化」してきている感じがしますよね。とは言え[マインデニム]ではちゃんとブルー系のラインナップもあります。それはやはりブルーには捨て難い魅力があるわけですよね。
野口 : うん、あります。こないだもブルーで新しいのを1本作りました。それは「501®」みたいなベーシックなものなんですけど、実は「501®」って背の低い人の方が似合うんですよ。(身長185cmの)自分のレングス探すのって意外と難しい。インチが大きくなると、今度は膝下が野暮ったくなったりするので、今回はそこを解消するようなものを作ったんです。
EM : 背が低い方が「501®」が似合うって、確かに分かりますね。
野口 : 今って昔に比べるとヒョロっとした若い子多いでしょ。そのモデルなら、ああいう子たちにも似合うかなって。
EM : 若い世代は、かつてのような“[リーバイス®]の洗礼”みたいなものがないですよね。いろんなデニムがあるのが当たり前の状態でファッションライフがスタートしていますし。
野口 : だからなのか、そこにこだわりがないですよね。赤耳なんてどうでもいい。じゃあ今の子たちにおけるヴィンテージって何かというと、80年代のブランドでしょ。自分たちみたいに、“ミリタリーやデニム”っていうヴィンテージ観ではないですよね。
EM : そういう意味では、[マインデニム]はどの辺の世代に穿いて欲しいという気持ちで作られているんですか?
野口 : もちろん20代にも穿いてもらいたいなと思ってはいるけど、実際はそれより上ですね。若い子は服にお金使わないし、特にボトムなんて安いものを何本も買えばいいという世代。それも分からなくはないけど、「どう違うのか、一回試してみれば?」くらいの気持ち。それから次に行けばいいんじゃないって。