野口強が語るデニムスタイル論
そしてMINEDENIMについて。
野口強の“デニムスタイル論”
EM : 野口さんの作るスタイルには、メンズに限らずウィメンズでもどこかに不良性を感じるのですが、デニムのスタイル的に影響を受けた人などはいるのでしょうか。
野口 : 確かに特にデニムって自分の中では不良っぽいとか、オトコ臭かったり、そういう意識がどこかにあって。デニムを着る女性もセクシーでいて欲しいっていうのがあります。でも、「この人」っていうのは全然いなくて、むしろ例えばコレクションやアメリカに遊びに行ったりする中で見た人たちの“イメージ”みたいなところですかね。
EM : 残像の集積というか。
野口 : 例えばアメリカのあるファッション誌の編集者なんかも、いつも「501®」を穿いているんです。いつもボタンダウンにネクタイにツイードジャケット、靴はウイングチップ。モロに「アイビー」な感じなんだけど、すごく男っぽい。あと例えば(カメラマンの)テリー・リチャードソンにしても、常に「501®」に[VANS(バンズ)]のヴィンテージ、ネルシャツにロックT。そうやって自分にスタイルを持っていて男っぽい人を見ていると、「なんかいいな」と思います。だからデニムでもあんまりナードな感じは好きじゃないかもですね。
EM : スタイルを持っている人はやっぱり格好いいですよね。ただ流行りの高級品を身につければいいというわけではなく。
野口 : それってアジア人だけだと思うんですよね。例えばパリコレに行っても、アジア人って毎シーズン違うものを着てくるわけ。みんなそのシーズンの流行り物を着る。でもアメリカやヨーロッパの人はスタイルがあって。だから自分がその編集者の人とかに言われたのは、「お前は何でいつも革ジャンにジーンズにTシャツなの?」って。「いや、俺はこれが好きだから」としか言わないんだけど、それで覚えてもらっていますよね。毎シーズン違う格好をしている人は、覚えてもらえないです。
EM : 仮に違うものを着ていても、同じスタイルで見てもらえるのが理想ですよね。先日[N.ハリウッド]の尾花さんにもインタビューをした時に、同じようなことをおっしゃっていました。最前線の人ほど地味な格好をしていると。
野口: うん。それでいて、そういう人はみんな良い物を着ていますからね。
野口強(Tsuyoshi Noguchi) スタイリスト / MINEDENIM ディレクター。スタイリストとしてファッション誌や広告を中心に活動。日本でも最も影響力のあるスタイリストの一人。
MINEDENIM POP UPストア in EDIFICE LA BOUCLE
開催日時:2018年9月8日(土)〜 9月30(日)
会場 : EDIFICE LA BOUCLE
住所 : 〒160-0006 東京都新宿区 NEWoMan新宿 4F
※ 期間中は直営店限定のMINEDENIMオリジナルエコバッグが購入特典。
《編集後記》
良いモノには必ず“説得力”が伴うものですが、今回野口さんのお話を聞いていて感じたのは、まさにそれでした。日本のトップスタイリストとして、その中でもデニムのトレンドに強い影響力のある野口さんが作る[マインデニム]から漂ってくるのは、妥協のない説得力。だからこそ取材をさせていただいた「MINED」のお店にも、なかなか今の時代では味わえないような独特の緊張感がありました。その空間の中で野口さんが語るデニム論、定番論、スタイル論は、特にファッション好きの男性ならグッときてしまうはずです。(武井)