オープン期間はたった8ヶ月。伝説的な中野の中華食堂、湯気のいまとこれから
たった8ヶ月で中野のカルチャーとなった湯気
2018年8月に中野の線路沿いにお店をオープンして以来、地元民はもちろん、食ツウたちのお眼鏡に叶うなど、急速にファンを増やしていった「湯気」。そんな中、2019年3月にビルの取り壊しのため多くの人から惜しまれつつも、お店をクローズ。SNSでは“♯湯気ロス”なるハッシュタグが多く見受けられるなど、ファンたちは「湯気」の営業再開を首を長くして待っています。
クローズから半年以上経っていますが未だ「湯気」の営業再開のアナウンスもなし。そこでエバーメイドでは、「湯気」の店主である、田口雄一さんとその一角でオーダーメイド花屋「LOVELETTER」を営んでいた奥さまのmemeさんに、「湯気のいまとこれから」について訊いてみました。
THE 昭和な店主が営む湯気とは
はじめに、「湯気」を知らない人のために少しお店の説明を。
昨年8月にオープンし、中野駅南口から徒歩数分、超人気ビストロ「松㐂」の隣に店を構えていた「湯気」。画像の通り、エントランスに見える花屋「LOVELETTER」を併設している、一見、カフェなのかギャラリーなのか分からない見た目。入り口の花屋を抜けて席につくと、お酒をご注文された方へのお通しとして先ず出される、日替わりスープが出てきます。席ごとにメニュー表を設けず、皆がひとつのメニューボードを見ながら選ぶのが街の中華屋のようで、そんな心地よい空間と店主である田口さんとのコミュニケーションを求めて、定期的に通っている常連客が多く見られました。
もちろん料理も格別で、看板の油淋鶏に舌鼓。カラッと揚げられた鶏肉に薬味たっぷりのタレをかけたジューシーな一皿は、中毒性があります。そんな厨房を一人で切り盛りしている田口さんは、実は元サラリーマン。会社員時代にひょんな事から中華料理教室に通うことになり、そこで習得したのがこの「湯気の味」となっているのです。
料理教室といっても、趣味で楽しむ一般的なイメージとは異なり、田口さんが通っていたのは“道場”と言われるほど過酷で、修行の様な教室。そんな年月を経て、様々な出会いやタイミングが重なり立ち上げる事が出来たのが、「湯気」であり、最初から8ヶ月限定で営業することが決まっていたと言います。
「最初は、ここまで忙しくなると思っていなかったので、もともと取り壊しが決まっていた場所で期間を決めて、僕1人でやれる範囲でまわしていくつもりでした。それがオープンから数ヶ月で、1人ではまわらなくなってしまい、memeや友人に手伝ってもらって3月のクローズまで切り盛りしていました」(田口さん)
新店舗オープン、年内に間に合うのか!?
スタート時の田口さんの予想を反し、日に日に忙しさが増してくる現状を見て、2019年に入ってからは4月以降の店舗の場所を探しはじめようと意識しつつも、日々の営業において人手が足りない事から、新店舗の場所は一旦すべてが終了してから探すことに決めたそうです。
しかし、閉店から半年以上たった今も候補が見つかっていない(!?)と言うのは、前店舗の様子を知っている人なら分かるように、田口さんとmemeさんの妥協できない強いこだわりがある故とのことでした。
「年内には新店舗で営業を開始します!」と言っていた2人の新「湯気」の構想とは。
新店舗のイメージは中華料理屋と雑貨屋のカオス空間
3月下旬の閉店から半年以上を使ってゆっくりと新店舗の構想を温めている2人。ネクスト「湯気」では、memeさんの営む「LOVELETTER」がパワーアップし、花屋としての作業場に加えて小物類が並ぶようになるとのこと。
「広さは前店舗と同じぐらいが理想。そこに『LOVELETTER』のショップ面積を増やしたいと思っています」(田口さん)
新店舗の場所はまた中野!?
我々が最も気になるのが、新装「湯気」がどこにオープンするかと言うこと。2人は半年以上かけて、食のカルチャースポット代々木や、東京のイーストサイドなど、あらゆる場所を内見してきたと言いますが、だんだん結論が固まってきていると言います。
「これまで一度、中野から離れて、人からすすめられた場所や、トレンディな場所までいろいろ見てきたのですが、やはり中野も良いなというように心が戻りつつあります。何処になるかはまだ未定ですが、出来るだけ早く新店舗で営業を開始します!」(田口さん)
今後もエバーメイドでは、「湯気」と「loveletter」の今後を追いかけて行くので、乞うご期待を!
edit&text_Marina Haga / photo_Erina Takahashi